注目論文:重症喘息患者に最適な生物学的製剤の選択

呼吸器内科
米国では,重症喘息治療に6種類の生物学的製剤が承認され、治療選択が複雑化しています(本法は5種類)。本総説では、バイオマーカー、合併症、妊娠、ステロイド依存性などの視点から、個々の患者に最適な生物学的製剤の選択について、実臨床に即した提言を行っています。特に、血中好酸球数や呼気一酸化窒素(FeNO)などのバイオマーカーを用いた治療選択の枠組みは有用と考えられます。
Choosing the Right Biologic for the Right Patient With Severe Asthma
重症喘息患者に最適な生物学的製剤の選択
Couillard S, Jackson DJ, Pavord ID, Wechsler ME.
Chest. 2025 Feb;167(2):330-342.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39245321/
背景:
重症喘息の治療において、現在4つの異なる作用機序を持つ6種類の生物学的製剤が承認されています(抗IgE:オマリズマブ、抗IL-5および抗IL-5受容体:メポリズマブ、レスリズマブ、ベンラリズマブ、抗IL-4受容体:デュピルマブ、抗TSLP:テゼペルマブ)。これらの製剤間での直接比較試験は実施されていないため、Type2気道炎症の異なる側面を抑制する効果に基づき、臨床試験や実臨床データを踏まえて検討を行いました。

研究デザイン:
重症難治性喘息の4つの症例バリエーションを用いて、前回の連載(「重症喘息の評価」)で紹介された概念と考慮事項を展開し、生物学的製剤選択における妊娠関連、バイオマーカー関連、合併症関連、およびステロイド依存性関連の考慮事項について検討しました。また、生物学的製剤の切り替えの時期、理由、方法についても議論しました。

結果:
生物学的製剤の選択は、期待される有効性に関する臨床試験データ、患者のバイオマーカープロファイル、安全性プロファイル(妊娠を考慮する場合など)、および1つの生物学的製剤で2つの合併症を標的とする機会に基づいて行うべきと考えられました。全身性および気道バイオマーカー(血中好酸球数と呼気一酸化窒素[FeNO])と他の表現型特性を用いて、治療決定を容易にするための枠組みを提案しました。

結論:
この枠組みを検証し、他の臨床的に有用な予測が可能かどうかを判断するために、事後解析研究や新しい比較研究が早急に必要です。