注目論文:間質性肺疾患患者における呼吸リハビリテーションの生存への影響

呼吸器内科
間質性肺疾患(ILD)患者における呼吸リハビリテーション(PR)の生存への影響を検討した重要な研究です。これまでPRの運動耐容能や生活の質への改善効果は知られていましたが、生存への影響は不明でした。本研究では、5年生存においてPR完遂者で44%の死亡リスク低下が示され、ILD診療におけるPRの重要性がさらに強調される結果となりました。
Impact of pulmonary rehabilitation on survival in people with Interstitial lung disease
間質性肺疾患患者における呼吸リハビリテーションの生存への影響
Dowman LM, Vainshelboim B, Holland AE.
Chest. 2025 Jan 11
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39805518/
背景:
呼吸リハビリテーション(PR)は間質性肺疾患(ILD)患者に有益な介入ですが、生存への影響は不明でした。本研究では、過去に発表された2つのランダム化比較試験(RCT)においてPRに割り付けられた患者と対照群の生存転帰を比較しました。

研究デザイン:
2つの過去のILDに対するPRのRCTのデータを統合して解析しました。PR開始から死亡、肺移植、または打ち切りまでの期間を計算し、カプランマイヤー法とコックス比例ハザード回帰分析を用いて生存への影響を評価しました。PR時の年齢、性別、FVC、6分間歩行距離(6MWD)、運動時最低SpO2、特発性肺線維症(IPF)の診断をベースライン共変量として含めました。

結果:
ILD患者182名(IPF 87名、男性109名、平均年齢69歳、FVC予測値76%、TLCO予測値48%)のうち、62%が死亡、6%が移植、20%が生存、12%が追跡不能でした。PR完遂群の生存期間中央値は6.1年(95%信頼区間4.4-7.9年)、対照群は4.7年(95%信頼区間3.4-6.0年)でしたが、有意差はありませんでした(log rank p=0.7)。
ベースライン変数で調整後、5年時点でPR完遂は44%の死亡リスク低下と関連していました(ハザード比0.56、95%信頼区間0.36-0.88、p=0.01)。10年時点では両群間に生存の差は認められませんでした。
ILD患者におけるPR参加は5年生存に影響を与える可能性があります。PR後の臨床的改善に加えて、生存benefit の可能性は、ILD患者の標準治療におけるPRの重要性をさらに強調するものです。