注目論文:COVID-19未感染ワクチン接種者と既感染未接種者における感染率と重症度の比較

呼吸器内科
米国退役軍人データベースを用いた研究で、mRNAワクチン2回以上接種群と未接種の既感染群において、ブレイクスルー感染と再感染の発生率は同程度でしたが、再感染群の入院・死亡率が有意に高いことが示されました。ワクチン接種の重症化予防効果が自然感染による免疫より優れている可能性があり、既感染者に対するワクチン接種の重要性を示唆する結果です。
COVID-19 Disease Incidence and Severity in Persons Previously Infected and Unvaccinated vs Previously Uninfected and Vaccinated
COVID-19未感染ワクチン接種者と既感染未接種者における感染率と重症度の比較
Butt AA, Yan P, Abou-Samra AB, Shaikh OS.
J Infect Dis. 2025 Feb 4;231(1):115-120.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39377756/
背景:
COVID-19における自然感染による免疫とワクチンによる免疫の効果を比較した研究は限られています。本研究では、米国退役軍人医療機関の全国データベースを用いて、これらの免疫による感染予防効果と重症化予防効果を比較検討しました。

研究デザイン:
米国退役軍人医療機関の全国COVID-19データベースを用いて、mRNAワクチンを2回以上接種した未感染者と、未接種の既感染者をマッチングペアとして比較しました。

結果:
ワクチン接種者におけるブレイクスルー感染の発生率(1000人日あたり0.30、95%信頼区間0.29-0.32)は、未接種者における再感染率(0.31、95%信頼区間0.30-0.32、P=0.5)と同程度でした。しかし、再感染後の入院・死亡率(7.31、95%信頼区間6.66-8.03)は、ブレイクスルー感染後の入院・死亡率(4.69、95%信頼区間4.06-5.42、P<0.0001)と比較して有意に高値でした。未接種者における再感染後の入院・死亡率は、ワクチン接種後のブレイクスルー感染と比較して有意に高いことが示されました。