注目論文:電子タバコ使用とCOPD発症リスクに関するメタ解析

呼吸器内科
電子タバコの使用が世界的に増加している中、非喫煙者における電子タバコ使用がCOPD発症リスクを約1.5倍上昇させることが、大規模な観察研究のメタ解析で示されました。電子タバコの使用による呼吸器への健康影響について、強い関心が寄せられていますが、本研究により電子タバコ使用がCOPD発症の独立したリスク因子となる可能性が示唆されました。電子タバコ使用防止に向けた公衆衛生学的介入の必要性を示す重要なエビデンスと考えられます。
The impact of electronic cigarette use on Chronic Obstructive Pulmonary Disease: a Systematic review and Meta-analysis
電子タバコ使用が慢性閉塞性肺疾患に与える影響:システマティックレビューとメタ解析
Song C, Hao X, Critselis E, Panagiotakos D.
Respir Med. 2025 Feb 5:107985.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39921069/
背景:
電子タバコ(e-cigarette)の使用は世界的に増加しています。しかし、電子タバコ使用が慢性閉塞性肺疾患(COPD)に与える影響について、統合された推定値は限られています。本メタ解析は、大規模な集団ベースの観察研究に基づき、電子タバコ使用がCOPDに与える影響を評価しました。

研究デザイン:
PRISMAガイドラインに基づき、2020年1月から2024年1月までに発表された観察研究について、MEDLINEとScopusで系統的な検索を実施しました。

結果:
当初検索された3,670論文のうち、7つの観察研究(横断研究4件、前向きコホート研究3件)が全ての検索基準を満たし、本メタ解析に使用されました。総計3,552,424名の参加者(COPD症例138,698例を含む)が解析対象となりました。ランダム効果メタ解析(I2 = 22%、Cochran Q (6) = 7.19、p=0.307)の結果、非喫煙者における電子タバコの使用は、COPD発症リスクが1.50倍(95%信頼区間:1.27-1.73)高くなることが示されました。1研究ずつ除外した感度分析でも結果は一貫していました(プール相対リスクの範囲:1.46-1.61、全てp<0.001)。横断研究のみ(プールオッズ比=1.55、95%信頼区間:1.26-1.84)および前向きコホート研究のみ(プール相対リスク=1.52、95%信頼区間:0.98-2.06)の層別解析では、電子タバコ使用者はCOPD発症リスクが52%から55%有意に高いことが示されました。これらの結果は、電子タバコ使用者がCOPD発症リスクの増加に直面していることを強調しており、COPD予防のために電子タバコ使用を減少させることを目的とした公衆衛生学的介入が必要であることを示しています。