注目論文:消毒・洗浄剤の長期使用と喘息発症リスクの関連性

呼吸器内科
家庭やオフィスでの消毒・洗浄剤の使用機会が増える中、その長期的な健康影響について重要な知見が報告されました。本研究では、若年成人を対象とした10年以上の追跡調査により、持続的な消毒・洗浄剤の使用が喘息リスクを上昇させる可能性が示唆されています。
Exposure Profiles for the Long-Term Use of Disinfectants and Cleaning Products and Asthma
消毒・洗浄剤の長期使用曝露プロファイルと喘息との関連
Pacheco Da Silva E, Weinmann T, Gerlich J, Weinmayr G, Genuneit J, Nowak D, von Mutius E, Vogelberg C, Radon K, Forster F.
Allergy. 2024 Dec 26
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39723603/
背景:
家庭や職場での消毒・洗浄剤(DCPs)の使用は、喘息の発症および経過に影響を与えることが知られていますが、これまでの疫学研究の多くは、DCPsへの曝露の多様性や相関関係を考慮していませんでした。本研究では、潜在クラス分析(LCA)を用いてDCPsの長期的な週単位使用の曝露プロファイルを特定し、喘息との関連を評価することを目的としました。

研究デザイン:
International Study of Asthma and Allergies in Childhood(ISAAC)フェーズIIのドイツセンターで最初に募集された1143人の若年成人のデータに対してLCAを実施し、3回のフォローアップを行いました。LCAモデルでは、19-24歳(初回評価)と29-34歳(2回目評価)時点での洗浄スプレー、消毒スプレー、非スプレー式消毒方法の使用を含めました。

結果:
DCPsへの長期曝露プロファイルとして5つのパターンが特定されました:週単位の使用なし(55%)、初回評価時のみ使用(7%)、2回目評価時のみ使用(18%)、持続的使用(8%)、持続的な洗浄スプレー使用(12%)。「使用なし」と比較して、「持続的使用」プロファイルは現在の喘息(OR=1.68、95%CI=0.48-5.88)および喘鳴(OR=1.71、95%CI=0.75-3.90)と関連していました。新規発症の喘息/喘鳴については、信頼区間が非常に広くなりました。本研究により、DCPsへの長期曝露について5つの異なるプロファイルが特定され、複数のDCPsの持続的な週単位使用のみが喘息に対して有害な影響を及ぼす可能性が示唆されました。ただし、信頼区間が広いことから、かなりの不確実性が示されています。