注目論文:ニルセビマブによるRSV関連下気道感染症の予防効果:MELODY試験の解析

呼吸器内科
小児のRSV感染症に対する新しいモノクローナル抗体製剤であるニルセビマブの第3相試験MELODYの詳細な解析結果が報告されました。本研究では、RSV単独感染のみならず他のウイルスとの重複感染に対する予防効果も確認され、さらに他の呼吸器ウイルスへの置換も認められませんでした。
Lower respiratory tract infections following respiratory syncytial virus monoclonal antibody nirsevimab immunization versus placebo: Analysis from a Phase 3 randomized clinical trial (MELODY) RSV
モノクローナル抗体ニルセビマブ投与後の下気道感染症:第3相ランダム化臨床試験(MELODY)からの解析
Arbetter D, Gopalakrishnan V, Aksyuk AA, et al.
Clin Infect Dis. 2024 Dec 4:ciae596.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39656748/
背景:
ニルセビマブは、RSVのF蛋白に対する半減期延長型の高力価中和モノクローナル抗体で、乳児および医学的脆弱児(24ヶ月以下)におけるRSV関連の医療機関受診を要する下気道感染症の予防に有効性を示しています。本事後探索的解析では、在胎35週以上の健康な正期産児および後期早産児を対象とした第3相試験(MELODY)における、RSVおよび他の呼吸器病原体による下気道感染症の発生率を検討しました。

研究デザイン:
3012名の参加者をニルセビマブ群(2009名)またはプラセボ群(1003名)に2:1でランダム化しました。下気道感染症を呈した乳児から鼻咽頭スワブを採取し、BioFire® Respiratory 2.1 パネルを用いて22種類の呼吸器病原体を検査しました。511日目までのRSVおよび非RSV下気道感染症の発生率と、ReSViNETスケールによる重症度を評価しました。

結果:
511日目までに561名の参加者から852の鼻咽頭スワブが採取され、ニルセビマブ群から519スワブ(337名)、プラセボ群から333スワブ(224名)でした。RSV感染は193/852(22.7%)、非RSV感染は551/852(64.7%)のスワブで検出されました。RSVとライノウイルス/エンテロウイルスの重複感染を含め、RSV感染率はニルセビマブ群で低値でした。他のウイルス感染の発生率は両群で同様でした。RSV単独感染および重複感染の約70%は軽症と判定され、RSV単独感染の26.2%、RSV重複感染の24.5%が入院を必要としました。ニルセビマブは、RSV単独感染および重複感染に対して予防効果を示し、他の呼吸器ウイルスへの置換を示唆する所見は認められませんでした。