注目論文:抜管後の高流量酸素療法における流量設定の違いによる臨床効果

呼吸器内科
抜管後の高流量酸素療法(High-flow nasal cannula: HFNC)の至適流量について、台湾から興味深い報告がありました。60L/分と40L/分を比較したRCTでは、再挿管やNIV使用の複合アウトカムに有意差は認めませんでしたが、40L/分群では設定変更を要する例が多かったことが示されました。
Effect of Flow Rates of High-Flow Nasal Cannula on Extubation Outcomes: A Randomized Controlled Trial
高流量酸素療法の流量設定が抜管後アウトカムに与える影響:ランダム化比較試験
Ruan SY, Kuo YW, Huang CT, Chien YC, Huang CK, Kuo LC, Kuo JS, Chung KP, Ku SC, Chien JY; Taiwan Collaborative Intensive Care Study (TACTICS) Group
Chest. 2024 Dec 30:S0012-3692(24)05729-5.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39742913/
背景:
高流量酸素療法(HFNC)は抜管後の酸素療法として有望な介入であり、再挿管のリスクを低減する可能性があります。しかし、一般的に使用されている30〜50L/分よりも高流量の設定が、より良好な転帰をもたらすかは不明です。

研究デザイン:
本ランダム化比較試験では、挿管患者を抜管後にHFNC 60L/分群または40L/分群に割り付けました。割り付けられた流量は24時間維持されました。主要評価項目は、抜管後48時間以内の再挿管または非侵襲的換気(NIV)使用の複合アウトカムとしました。

結果:
180名がランダム化され、169名が解析対象となりました(40L/分群86名、60L/分群83名)。主要評価項目は40L/分群で19名(22.1%)、60L/分群で14名(16.9%)に発生し(リスク差 5.2%; 95%信頼区間 -6.7%〜17.1%; P=0.39)、有意差を認めませんでした。副次評価項目では、40L/分群でNIV使用またはHFNC設定の変更を要する呼吸補助の増強リスクが高く(24名[27.9%] vs 8名[9.6%]; P=0.002)、40L/分群では設定変更を要する症例が多いことが示されました。抜管後の患者において、HFNC流量を60L/分に設定しても、40L/分と比較して再挿管やNIV使用のリスクは低下しませんでした。ただし、本試験は群間の小さな差を検出するには検出力が不十分であった可能性があります。