BMJがトランプ政権に対する課題、今後の対応についてコメントを記載
呼吸器内科
Trump and the tech bros: demagogues of harm to human and planetary health
BMJ 2025;388:r196
doi: https://doi.org/10.1136/bmj.r196
(Published 30 January 2025)
BMJ 2025;388:r196
doi: https://doi.org/10.1136/bmj.r196
(Published 30 January 2025)
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米国政府による科学者への制限
- 一時、連邦職員(NIH所属者など)による学術出版や学会活動への参加が制限されるような方針が出された。のちに論文投稿などは許可されたが、プレプリントや査読前の原稿のオンライン公開は一時停止状態。
- 科学研究や国際協力の委縮が懸念され、科学者への「口止め」は公衆衛生や医療の観点からも危険と指摘。
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トランプ政権の政策と国際医療・公衆衛生への影響
- WHO脱退やパリ協定脱退など、国際的な医療・環境協力からの離脱が行われた。
- さらに女性の健康を損ねる政策や医療保険の縮小、公正・公平に関する取り組みの中断などが医療分野にも大きな悪影響を及ぼす。
- 米国は影響力が大きいため、これらの措置は世界の公衆衛生にも波及すると懸念される。
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「客観的な真実」の否定と「まともにふるまうこと」の欠如
- 記事ではジョージ・オーウェルの「客観的真実を否定することが“オーウェル的”」という考え方に触れ、現代の政治家や影響力者の言動がこの傾向に近いと批判。
- 科学の役割は客観的事実を追求し、医療の使命は患者と社会に誠実に向き合うことだが、政治的な思惑がそれを損ねている。
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テック企業(いわゆる“tech bros”)の問題:SNSと医療情報の混乱
- ソーシャルメディアが健康情報の主要ソースとなる現状で、誤情報・偽情報(misinformation、 disinformation)が広がり、公衆衛生上のリスクが高まっている。
- ビッグテック企業によるファクトチェックやコンテンツ管理が不十分、あるいは政治的・経済的圧力によって偏る危険性が指摘される。
- BMJがワクチン臨床試験のデータ不備を報じた記事がFacebookで「事実誤認」と扱われ、検閲のような形になった事例が挙げられている。
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解決策と今後の課題
- 誤情報対策としてファクトチェックやコンテンツモデレーションは必要だが、政治的バイアスに左右されず「真実を証明・反証する」ことが肝要。
- SNSとAIの組み合わせによる影響は気候変動・肥満・抗菌薬耐性と並ぶ地球規模の脅威になり得るため、適切な規制が必要。
- トランプ政権やテック企業の在り方に対し、客観的真実と良識に基づく対応、そして強い民主主義と倫理的なテクノロジー運用が求められる。