注目論文:COPDのType 2炎症患者におけるDupilumabの効果
呼吸器内科
デュピルマブはすでにIL-4/13シグナルを阻害する抗体製剤として重症喘息やアトピー性皮膚炎に対して高い有効性が示されていますが、今回COPDに対する第III相試験であるBOREASおよびNOTUS試験の統合解析結果が報告されました。本研究では、特にType 2炎症を有するCOPD患者において、デュピルマブがQOLと呼吸器症状を有意に改善することが示されました。
Dupilumab Improves Health-Related Quality of Life and Respiratory Symptoms in Patients With COPD and Type 2 Inflammation: BOREAS and NOTUS
Type 2炎症を有するCOPD患者における健康関連QOLと呼吸器症状に対するデュピルマブの改善効果:BOREASおよびNOTUS試験
Bhatt SP, Rabe KF, Hanania NA, Vogelmeier CF, Bafadhel M, Christenson SA, Papi A, Singh D, Laws E, Dakin P, Maloney J, Lu X, Bauer D, Bansal A, Abdulai RM, Robinson LB.
Chest. 2025 Jan 31:S0012-3692(25)00142-4.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39894389/
Type 2炎症を有するCOPD患者における健康関連QOLと呼吸器症状に対するデュピルマブの改善効果:BOREASおよびNOTUS試験
Bhatt SP, Rabe KF, Hanania NA, Vogelmeier CF, Bafadhel M, Christenson SA, Papi A, Singh D, Laws E, Dakin P, Maloney J, Lu X, Bauer D, Bansal A, Abdulai RM, Robinson LB.
Chest. 2025 Jan 31:S0012-3692(25)00142-4.
背景:
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療方針を決定する上で、臨床評価とともに患者報告アウトカムを考慮する必要があります。
研究デザイン:
本研究は2つの第III相試験の統合解析で、トリプル療法を受けているType 2炎症を有するCOPD患者を、デュピルマブ300mg(938名)またはプラセボ(936名)に1:1で無作為に割り付け、52週間にわたり2週間ごとに投与しました。QOLと呼吸器症状の重症度は、ベースラインから52週目までのSt. George's Respiratory Questionnaire(SGRQ;総スコアおよび症状、活動、影響の各ドメインスコア)とEvaluating Respiratory Symptoms in COPD(E-RS:COPD;総スコアおよび呼吸困難、咳・痰、胸部症状の各ドメインスコア)の変化で評価しました。
結果:
合計1,660名の患者が52週まで到達し(各治療群830名)、52週目においてデュピルマブはプラセボと比較して、SGRQ総スコアを-3.4(95%CI: -5.0, -1.8; P<.0001)、E-RS:COPD総スコアを-0.9(95%CI: -1.4, -0.4; P=.0006)改善させました。同様の改善はSGRQの症状(-3.5)、活動(-4.0)、影響(-2.9)の各ドメイン、およびE-RS:COPDの呼吸困難(-0.6)、咳・痰(-0.2)、胸部症状(-0.1)の各ドメインでも認められました。デュピルマブはType 2炎症を有するCOPD患者において、SGRQおよびE-RS:COPDの総スコアとドメインスコアの改善を示しました。この結果は、Type 2炎症を有するCOPD患者の症状管理における新たな治療選択肢としてのデュピルマブの可能性を示唆しています。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療方針を決定する上で、臨床評価とともに患者報告アウトカムを考慮する必要があります。
研究デザイン:
本研究は2つの第III相試験の統合解析で、トリプル療法を受けているType 2炎症を有するCOPD患者を、デュピルマブ300mg(938名)またはプラセボ(936名)に1:1で無作為に割り付け、52週間にわたり2週間ごとに投与しました。QOLと呼吸器症状の重症度は、ベースラインから52週目までのSt. George's Respiratory Questionnaire(SGRQ;総スコアおよび症状、活動、影響の各ドメインスコア)とEvaluating Respiratory Symptoms in COPD(E-RS:COPD;総スコアおよび呼吸困難、咳・痰、胸部症状の各ドメインスコア)の変化で評価しました。
結果:
合計1,660名の患者が52週まで到達し(各治療群830名)、52週目においてデュピルマブはプラセボと比較して、SGRQ総スコアを-3.4(95%CI: -5.0, -1.8; P<.0001)、E-RS:COPD総スコアを-0.9(95%CI: -1.4, -0.4; P=.0006)改善させました。同様の改善はSGRQの症状(-3.5)、活動(-4.0)、影響(-2.9)の各ドメイン、およびE-RS:COPDの呼吸困難(-0.6)、咳・痰(-0.2)、胸部症状(-0.1)の各ドメインでも認められました。デュピルマブはType 2炎症を有するCOPD患者において、SGRQおよびE-RS:COPDの総スコアとドメインスコアの改善を示しました。この結果は、Type 2炎症を有するCOPD患者の症状管理における新たな治療選択肢としてのデュピルマブの可能性を示唆しています。