注目論文:レムデシビル+デキサメタゾン併用療法のCOVID-19入院患者における死亡リスク低減効果

呼吸器内科
COVID-19入院患者に対するレムデシビル+デキサメタゾン併用療法は、デキサメタゾン単独療法と比較して、全ての酸素投与レベルにおいて死亡リスクを有意に低下させることが示されました。特に、人工呼吸器管理を要する重症例においても有効性が確認されており、現行のガイドラインの更新が必要かもしれません。
Lower Mortality Risk Associated With Remdesivir + Dexamethasone Versus Dexamethasone Alone for the Treatment of Patients Hospitalized for COVID-19
COVID-19入院患者の治療におけるレムデシビル+デキサメタゾン併用療法とデキサメタゾン単独療法の死亡リスクの比較
Mozaffari E, Chandak A, Gottlieb RL, Chima-Melton C, Berry M, Oppelt T, Okulicz JF, Amin AN, Welte T, Sax PE, Kalil AC.
Clin Infect Dis. 2025 Feb 5;80(1):63-71.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39302162/
背景:
パンデミック初期にCOVID-19の治療ガイドラインが作成されましたが、SARS-CoV-2の進化に伴い、実臨床データによる最新の情報が必要とされています。本研究は、オミクロン期におけるCOVID-19入院患者に対するレムデシビル+デキサメタゾン併用療法とデキサメタゾン単独療法の死亡リスクを評価することを目的としました。

研究デザイン:
2021年12月から2023年4月の間に、COVID-19を主病名として入院し、レムデシビル+デキサメタゾンまたはデキサメタゾン単独で治療を受けた成人患者を、米国の大規模多施設病院データベースから特定しました。傾向スコアマッチングを用いて1:1でマッチングし、ベースラインの酸素必要量で層別化しました。14日および28日の院内全死因死亡までの時間をCox比例ハザードモデルで評価しました。

結果:
マッチングされた33,037名の患者の大部分が65歳以上(72%)、白人(78%)、非ヒスパニック(84%)でした。レムデシビル+デキサメタゾン併用療法は、全ての酸素投与レベルにおいて、デキサメタゾン単独療法と比較して14日死亡リスクが低下していました(酸素投与なし:調整ハザード比0.79 [95%信頼区間: 0.72-0.87]、低流量酸素:0.70 [0.64-0.77]、高流量酸素/非侵襲的換気:0.69 [0.62-0.76]、侵襲的人工換気/ECMO:0.78 [0.64-0.94])。28日死亡においても同様の結果でした。併用療法は、実臨床での使用頻度が依然として低く、現行のガイドラインの更新が必要であることが示唆されました。