注目論文:PCP症例のICU死亡予測ノモグラムモデルの開発

呼吸器内科
PCPのICU症例の予後予測モデルの開発が報告されました。MIMIC-IVデータベースを用いた大規模な後方視的研究により、5つの重要な因子(悪性腫瘍の既往、Lodsスコア、Oasisスコア、ショックと重症腎障害の合併)を組み合わせたノモグラムが開発されました。重症PCPの予後予測ツールは限られており、重要なデータと考えられます。
Development and assessment of a mortality risk prediction nomogram model for pneumocystis disease in ICU within 28 days
ICUにおけるニューモシスチス症の28日死亡リスク予測ノモグラムモデルの開発と評価
Weng Y, Zhou T, Ye H.
Sci Rep. 2025 Jan 18;15(1):2410.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39827208/
背景:
ICUに入室したニューモシスチス症患者の28日死亡リスクを評価するためのノモグラム予測モデルを開発・評価することを目的としました。

研究デザイン:
2008年から2022年にかけて、アメリカ重症患者医療情報データベースIV(MIMIC-IV)を用いてニューモシスチス症患者の臨床データを収集しました。当初63の重要な予測指標を含め、ICU入室を時間軸の基点とし、28日以内の全死因死亡をアウトカムとしました。完全データモデリングを用い、変数選択にはLasso回帰(glmnetパッケージ)と共線性スクリーニング(carパッケージ)を組み合わせました。内部検証にはブートストラップ法を1000回実施し、AUC、平均感度、特異度および95%信頼区間を算出し、ROC曲線、キャリブレーション曲線、DCA曲線をプロットしました。

結果:
28日生存状況に基づき、生存群83例(67.48%)、死亡群40例(32.52%)に分類されました。スクリーニングの結果、悪性腫瘍の既往、Lodsスコア、Oasisスコア、ショックと重症腎障害の合併の5変数が最終的に全サンプルに含まれました。ROC解析では、モデルの感度0.600(95%CI 0.448-0.752)、特異度0.904(95%CI 0.840-0.967)、AUC 0.814(95%CI 0.732-0.897)でした。DCA曲線ではモデル適用の精度が高く、集団予測に対するnet benefitが示され、モデルのキャリブレーション曲線も良好な較正精度を示しました。1000回の内部検証の結果、モデルの較正性能は良好で、患者アウトカムイベントの確率が35-60%の間で最も精度が高く、集団予測に対して最大のnet benefitが得られることが示されました。