注目論文:COVID-19の再感染とPASC(長期後遺症)発症リスクの関連:ニューヨークのエッセンシャルワーカーにおける後ろ向きコホート研究

呼吸器内科
COVID-19の再感染が長期後遺症(PASC)のリスクを約1.4倍増加させることが示されました。また、初回感染時の重症度や未接種であることも、PASCの重要なリスク因子であることが明らかになりました。
SARS-COV-2 re-infection and incidence of post-acute sequelae of COVID-19 (PASC) among essential workers in New York: a retrospective cohort study
ニューヨークのエッセンシャルワーカーにおけるSARS-CoV-2再感染と新型コロナウイルス感染症後遺症(PASC)の発生率:後ろ向きコホート研究
Babalola TK, Clouston SAP, Sekendiz Z, et al.
Lancet Reg Health Am. 2025 Jan 8;42:100984
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39866362/
背景:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した後、一部の人々が新型コロナウイルス感染症後遺症(PASC)として知られる症状を発症します。PASCは十分に理解されていない新しい現象であり、リスク因子の特定が課題となっています。本研究では、COVID-19感染回数とエッセンシャルワーカーにおけるPASC発症との関連を調査しました。

研究デザイン:
2020年3月から2024年2月までの期間に、PCR検査、抗体検査、または抗原検査でSARS-CoV-2感染が確認された2,511名のエッセンシャルワーカー(主に救急隊員)のデータを分析しました。データは対面での質問票調査、テキストやメールによる調査、内部医療記録、フォローアップコール、外部医療記録を通じて収集されました。初回SARS-CoV-2感染から3ヶ月後に症状が継続または新たに発症し、少なくとも2ヶ月間症状が持続した参加者をPASC群、COVID-19未感染または症状が改善した参加者を非PASC群と分類しました。

結果:
合計475名(有病率18.9%、95%信頼区間17.4-20.5)のPASC患者が確認されました。PASC発症者の平均年齢(標準偏差)は54.8(7.2)歳で、非発症者の54.2(7.4)歳と同程度でした。403名(16.1%、95%信頼区間14.6-17.5)が複数回のCOVID-19感染を経験していました。人口統計学的要因、生活習慣、臨床変数を調整後、PASC発症リスクは複数回のSARS-CoV-2感染(相対リスク1.41、95%信頼区間1.14-1.74)、重症COVID-19(相対リスク3.17、95%信頼区間2.41-4.16)、初回感染時の未接種(相対リスク3.29、95%信頼区間2.46-4.41)と有意な関連を示しました。PASC(Post-Acute Sequelae of SARS-CoV-2、いわゆるロングCOVID)の病因メカニズムは依然として不明確ですが、ワクチン未接種や再感染などのリスク要因を特定することで、この病態のよりよい理解と管理に役立てることができます。