注目論文:軽度から中等度のCOPDにおける運動耐容能と呼吸器関連アウトカムの関連

呼吸器内科
COPDの早期段階から運動耐容能の低下が認められることは知られていましたが、その予後への影響は十分に検討されていませんでした。本研究により、軽度から中等度のCOPD患者において、運動耐容能の低下が肺機能低下や増悪リスクと関連することが示されました。これは運動耐容能が早期COPDの予後予測マーカーとして有用である可能性を示唆しており、早期からのリハビリテーション介入の重要性を裏付けるものと考えられます。
Association of Exercise Tolerance with Respiratory Health Outcomes in Mild-to-Moderate COPD
軽度から中等度のCOPDにおける運動耐容能と呼吸器関連アウトカムの関連
Wan Q, Deng Z, Wu F, et al.
Ann Am Thorac Soc. 2024 Nov 25.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39586034/
背景:
軽度から中等度のCOPD患者における運動耐容能低下は認識されていますが、特に地域住民を対象とした場合の肺機能低下や急性増悪リスクとの関連は明らかになっていません。

研究デザイン:
Early Chronic Obstructive Pulmonary Disease研究の一環として、軽度から中等度のCOPD患者(気管支拡張薬投与後のFEV1/FVC < 0.70かつFEV1予測値≥50%)を対象としました。ベースライン時に質問票調査、スパイロメトリー、心肺運動負荷試験を実施し、その後2年間にわたり年1回の増悪評価と肺機能検査を実施しました。運動耐容能は最大酸素摂取量(VO2peak)の予測値に対する割合として定義しました。

結果:
ベースライン解析には338名が含まれ、319名が2年間の追跡を完了しました。VO2peak予測値の平均値は79.8±13.7%でした。低いVO2peak予測値は、慢性呼吸器症状の増加、肺機能低下、重度の肺気腫、および気流閉塞と関連していました。2年間の追跡期間中、VO2peak予測値の13.7%(1標準偏差)の低下は、気管支拡張薬投与前のFEV1/FVC比の低下(差=0.4%、95%信頼区間:0.1%-0.7%、P=0.003)および総増悪リスクの上昇(相対リスク=1.25、95%信頼区間:1.08-1.46、P=0.004)と関連していました。運動耐容能の低下は、軽度から中等度のCOPD患者における予後予測マーカーとして有用である可能性が示されました。