注目論文:米国退役軍人におけるRSVワクチンの有効性(2023-2024年)

呼吸器内科
RSVワクチンのリアルワールドの有効性が最近報告され始めました.本研究では、60歳以上の退役軍人を対象に、RSVワクチンの実臨床における有効性が示されました。特に、RSV関連の入院や救急外来受診の予防に高い効果が認められ、ワクチン接種の推奨を支持する結果となりました。
Respiratory syncytial virus vaccine effectiveness among US veterans, September, 2023 to March, 2024: a target trial emulation study
米国退役軍人におけるRSVワクチンの有効性(2023年9月から2024年3月):ターゲット試験エミュレーション研究
Bajema, Kristina L et al.
The Lancet Infectious Diseases, 2024 on line first
https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(24)00796-5/abstract
背景:
米国では、60歳以上の成人におけるRSV関連下気道疾患の予防を目的とした新しいRSVワクチンが承認されています。これらのワクチンの実臨床における有効性に関する情報が必要とされています。

研究デザイン:
退役軍人健康管理システムの電子健康記録を用いて、60歳以上の退役軍人を対象に、組換えプレフュージョンF蛋白RSVワクチンの単回接種と非接種を比較するターゲット試験をエミュレートしました。2023年9月1日から12月31日までの4か月間の連続的な試験において、適格なワクチン接種者を最大4人の非接種者とマッチングし、2024年3月31日まで追跡しました。

結果:
ワクチン接種者146,852名と、582,936名の対照者(146,852名を代表するように重み付け)を対象としました。全体の94.0%が男性、年齢中央値は75.9歳でした。中央値124日間の追跡期間中、RSV感染の発生率はワクチン接種群で1000人年あたり1.7件(95%信頼区間 1.4-2.1、総数88件)、非接種群で7.3件(6.6-8.1、総数372件)でした。ワクチンの有効性は78.1%(72.6-83.5)と推定され、RSV関連救急外来/緊急ケア受診に対して78.7%(72.2-84.8)、入院に対して80.3%(65.8-90.1)の有効性が示されました。

結論:
2023-24年の呼吸器疾患シーズンにおいて、RSVワクチンは60歳以上の成人におけるRSV関連疾患および関連する医療利用の予防に効果的であり、この集団におけるワクチン接種の現行の推奨を支持する結果となりました。