注目論文:生物学的製剤使用中の重症好酸球性喘息患者におけるアジスロマイシンの効果
呼吸器内科
当院でも生物学的製剤使用中の重症喘息患者さんで、増悪を繰り返す症例を経験します。本研究では、このような患者さんに対するアジスロマイシンの追加効果が示されました。特に慢性気管支炎様の症状や、頻回な膿性痰を伴う増悪を呈する患者さんで有用である可能性があります。ただし、後ろ向き研究であり、今後の前向き試験での検証が待たれます。
Effects of azithromycin in severe eosinophilic asthma with concomitant monoclonal antibody treatment
生物学的製剤併用中の重症好酸球性喘息におけるアジスロマイシンの効果
Lavoie G, Howell I, Melhorn J, Borg C, Bermejo-Sanchez L, Seymour J, Jabeen MF, Fries A, Hynes G, Pavord ID, Petousi N, Hinks TS.
Thorax. 2025 Jan 17;80(2):113-116.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39694544/
生物学的製剤併用中の重症好酸球性喘息におけるアジスロマイシンの効果
Lavoie G, Howell I, Melhorn J, Borg C, Bermejo-Sanchez L, Seymour J, Jabeen MF, Fries A, Hynes G, Pavord ID, Petousi N, Hinks TS.
Thorax. 2025 Jan 17;80(2):113-116.
背景:
マクロライド系抗菌薬は、重症喘息患者の吸入療法に追加することで増悪を減少させることが知られています。しかし、生物学的製剤による治療を受けている患者における有効性についてのエビデンスは限られています。
研究デザイン:
当センターにおいて、生物学的製剤使用中にアジスロマイシンを開始した全患者を対象とした後ろ向き調査を実施しました。アジスロマイシンを開始しなかった患者と比較して、開始した患者群の特徴を分析しました。
結果:
アジスロマイシンを開始した患者群は、開始しなかった患者群と比較して、より多くの増悪を経験しており、慢性気管支炎および/または頻回な膿性痰を伴う増悪という特徴を有していました。生物学的製剤にアジスロマイシンを追加することで、年間のステロイド治療を要する増悪率および抗菌薬治療を要する増悪率が減少し、喘息コントロール質問票(ACQ-5)のスコアも改善しましたが、肺機能の改善は認められませんでした。これらのデータは、生物学的製剤使用中も残存する増悪を有する患者に対するアジスロマイシンの臨床試験実施を支持する結果となりました。
マクロライド系抗菌薬は、重症喘息患者の吸入療法に追加することで増悪を減少させることが知られています。しかし、生物学的製剤による治療を受けている患者における有効性についてのエビデンスは限られています。
研究デザイン:
当センターにおいて、生物学的製剤使用中にアジスロマイシンを開始した全患者を対象とした後ろ向き調査を実施しました。アジスロマイシンを開始しなかった患者と比較して、開始した患者群の特徴を分析しました。
結果:
アジスロマイシンを開始した患者群は、開始しなかった患者群と比較して、より多くの増悪を経験しており、慢性気管支炎および/または頻回な膿性痰を伴う増悪という特徴を有していました。生物学的製剤にアジスロマイシンを追加することで、年間のステロイド治療を要する増悪率および抗菌薬治療を要する増悪率が減少し、喘息コントロール質問票(ACQ-5)のスコアも改善しましたが、肺機能の改善は認められませんでした。これらのデータは、生物学的製剤使用中も残存する増悪を有する患者に対するアジスロマイシンの臨床試験実施を支持する結果となりました。