注目論文:難治性喘息患者における1年間の体重管理プログラムの有効性

呼吸器内科
肥満を伴う難治性喘息患者に対する1年間の栄養士指導による体重管理プログラムの効果が報告されました。本研究では、50%以上の患者さんで10%以上の体重減少が得られ、QOLの改善も認められました。当院でも肥満を伴う難治性喘息患者さんを診療していますが、体重管理を含めた包括的な介入の重要性を示唆する研究と考えられます。
A 1-Year Weight Management Program for Difficult-to-Treat Asthma With Obesity: A Randomized Controlled Study
肥満を伴う難治性喘息に対する1年間の体重管理プログラム:ランダム化比較試験
Sharma V, Ricketts HC, McCombie L, Brosnahan N, Crawford L, Slaughter L, Goodfellow A, Steffensen F, Chaudhuri R, Lean MEJ, Cowan DC.
Chest. 2025 Jan;167(1):42-53.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39427706/
背景:
肥満関連喘息は罹患率と死亡率の増加をもたらします。本研究では、難治性喘息と肥満を有する患者を対象に、単施設ランダム化比較試験において、Counterweight-Plusプログラム(CWP)による体重管理レジメンと通常ケア(UC)を比較した1年間の喘息アウトカムを報告しています。

研究デザイン:
難治性喘息とBMI≥30kg/m2の成人患者を、CWPと通常ケアに1:1の比率でランダム化しました。栄養士の支援を受けたCWPは、12週間の完全食事置換期(850kcal/日の低エネルギー食)、その後の食事再導入期、および1年間の維持期で構成されました。主要評価項目は6項目喘息コントロール質問票(ACQ-6)と喘息QOL質問票(AQLQ)のスコア、および医療機関受診回数としました。

結果:
登録された36名のうち、52週時点で29名(CWP群13名、UC群16名)が受診を完了しました。52週時点でCWP群はUC群と比較して、より大きな体重変化を示しました(中央値:CWP群-14kg vs UC群2kg、P=0.015)。AQLQ最小臨床的有意差の達成率はCWP群で有意に高く(71% vs 6%、P<0.001)、ACQ-6では群間差を認めませんでした。増悪頻度の中央値はCWP群で52週間にわたり4回から0回に減少しましたが(P<0.001)、群間差は認められませんでした。CWP群の70%が10%以上の体重減少を達成し、52週間を通してACQ-6とAQLQの改善を示しました。体重管理プログラムの利用により持続的な体重減少が得られ、喘息を伴う肥満の潜在的な治療選択肢となる可能性が示されました。