注目論文:PD-L1低発現NSCLCに対するNivolumab+Ipilimumab併用療法の長期
呼吸器内科
PD-L1発現1%未満の転移性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する一次治療として、Nivolumab+Ipilimumab併用療法(化学療法併用の有無を問わず)は、従来の化学療法と比較して長期生存率の改善を示しました。特に脳転移例や扁平上皮癌などの難治性症例においても有効性が確認されております。しかし、国内の臨床試験の結果からは、現状国内では9LAレジメンの投与は行いづらいと考えられます。
Long-Term Survival Outcomes With First-Line Nivolumab Plus Ipilimumab-Based Treatment in Patients With Metastatic NSCLC and Tumor Programmed Death-Ligand 1 Lower Than 1%: A Pooled Analysis
PD-L1発現1%未満の転移性NSCLCに対する一次治療としてのNivolumab+Ipilimumab併用療法の長期生存成績:統合解析
Peters S, Paz-Ares LG, Reck M, et al.
J Thorac Oncol. 2025 Jan;20(1):94-108.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39369790/
PD-L1発現1%未満の転移性NSCLCに対する一次治療としてのNivolumab+Ipilimumab併用療法の長期生存成績:統合解析
Peters S, Paz-Ares LG, Reck M, et al.
J Thorac Oncol. 2025 Jan;20(1):94-108.
背景:
Nivolumab+Ipilimumab併用療法は転移性NSCLCに対して長期的な有効性を示してきました。本研究では、CheckMate 227およびCheckMate 9LAの第3相試験において、PD-L1発現1%未満の転移性NSCLC患者に対する一次治療として、Nivolumab+Ipilimumab(化学療法2コースの併用の有無を問わず)と最大4コースの化学療法を比較した統合解析の結果を報告しています。
研究デザイン:
対象は18歳以上のステージIVまたは再発NSCLCで、EGFR/ALK変異陰性の患者としました。評価項目は全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、奏効率、奏効期間、および安全性としました。
結果:
PD-L1発現1%未満の患者において、Nivolumab+Ipilimumab群(322例)vs 化学療法群(315例)の比較で、観察期間中央値73.7ヶ月における全生存期間中央値は17.4ヶ月 vs 11.3ヶ月(ハザード比 0.64、95%信頼区間: 0.54-0.76)、5年生存率は20% vs 7%でした。この生存benefit は、脳転移例(ハザード比 0.44)や扁平上皮癌(ハザード比 0.51)などの難治性サブグループでも認められました。全体集団におけるPFS中央値は5.4ヶ月 vs 4.9ヶ月(ハザード比 0.72)、奏効率は29% vs 22%、奏効期間中央値は18.0ヶ月 vs 4.6ヶ月でした。新たな安全性の懸念は認められませんでした。Nivolumab+Ipilimumab併用療法は、PD-L1発現1%未満の転移性NSCLC患者に対して長期的な臨床benefit をもたらし、アンメットニーズの高い本集団における一次治療の選択肢として支持されます。
Nivolumab+Ipilimumab併用療法は転移性NSCLCに対して長期的な有効性を示してきました。本研究では、CheckMate 227およびCheckMate 9LAの第3相試験において、PD-L1発現1%未満の転移性NSCLC患者に対する一次治療として、Nivolumab+Ipilimumab(化学療法2コースの併用の有無を問わず)と最大4コースの化学療法を比較した統合解析の結果を報告しています。
研究デザイン:
対象は18歳以上のステージIVまたは再発NSCLCで、EGFR/ALK変異陰性の患者としました。評価項目は全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、奏効率、奏効期間、および安全性としました。
結果:
PD-L1発現1%未満の患者において、Nivolumab+Ipilimumab群(322例)vs 化学療法群(315例)の比較で、観察期間中央値73.7ヶ月における全生存期間中央値は17.4ヶ月 vs 11.3ヶ月(ハザード比 0.64、95%信頼区間: 0.54-0.76)、5年生存率は20% vs 7%でした。この生存benefit は、脳転移例(ハザード比 0.44)や扁平上皮癌(ハザード比 0.51)などの難治性サブグループでも認められました。全体集団におけるPFS中央値は5.4ヶ月 vs 4.9ヶ月(ハザード比 0.72)、奏効率は29% vs 22%、奏効期間中央値は18.0ヶ月 vs 4.6ヶ月でした。新たな安全性の懸念は認められませんでした。Nivolumab+Ipilimumab併用療法は、PD-L1発現1%未満の転移性NSCLC患者に対して長期的な臨床benefit をもたらし、アンメットニーズの高い本集団における一次治療の選択肢として支持されます。