注目論文:ハイリスク成人(18-59歳)におけるRSV二価ワクチンの有効性

呼吸器内科
高齢者を対象としたRSVワクチンの有効性は既に示されていましたが、本研究では18-59歳のハイリスク患者においても、安全性と免疫原性が確認されました。慢性疾患や免疫不全を有する若年成人のRSV感染症予防における新たな選択肢として期待されます。
Bivalent RSVpreF Vaccine in Adults 18 to <60 Years Old With High-Risk Conditions
ハイリスク状態の18歳以上60歳未満成人におけるRSV二価ワクチン
Davis M, Towner W, DeHaan E, Jiang Q, Li W, Rahman F, Patton M, Wyper H, Lino MM, Sarwar UN, Majid-Mahomed Z, Mehta S, Howitt W, Cannon K, Kalinina E, Cooper D, Swanson KA, Anderson AS, Gurtman A, Munjal I.
Clin Infect Dis. 2024 Nov 11:ciae550.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39523547/
背景:
高齢者および特定の慢性疾患や免疫不全状態を有する成人は、重症RSV感染症のリスクが高くなっています。

研究デザイン:
重症RSV感染症のハイリスクを有する18-59歳を対象とした第3相ランダム化試験で、RSVpreF(120 µg)またはプラセボを2:1の割合で1回接種しました。主要安全性評価項目は、接種後7日間の反応原性事象、1ヶ月間の有害事象(AE)、および試験期間中の重篤な有害事象(SAE)と新規診断された慢性疾患(NDCMC)としました。主要解析では、RSVpreF接種1ヶ月後の免疫原性を、RSVpreFの有効性が示された主要第3相RENOIR試験の免疫原性サブセットから無作為に選択された60歳以上の集団と比較しました。RSV-AとRSV-Bの中和抗体価の幾何平均比の95%信頼区間下限が0.667を超え、かつ血清反応率の差の95%信頼区間下限が-10%を超える場合に非劣性と判定しました。

結果:
合計678名の参加者がRSVpreF(453名)またはプラセボ(225名)を接種しました。反応原性事象の大部分は軽度または中等度で、重度の事象は全体で2.0%以下でした。AEの頻度はRSVpreF群(7.1%)とプラセボ群(7.6%)で同程度でした。ワクチン関連のSAEやNDCMCは報告されませんでした。RSVpreF接種1ヶ月後、18-59歳群の60歳以上群に対する非劣性基準は、RSV-AとRSV-Bの中和抗体価および血清反応率において満たされました。RSVpreFは良好な忍容性を示し、安全性の懸念はなく、既に有効性が示されている60歳以上の集団との免疫ブリッジングにより、重症RSV感染症のハイリスクを有する18-59歳における有効性が示唆され、この集団でのRSV関連疾患予防における使用が支持されました。