PRISmは、FEV1/FVC比が保たれているにもかかわらずFEV1が低下している呼吸機能パターンです。本研究では特にFVCの低下を伴うPRISmで死亡リスクが上昇することが示されました。当院の呼吸機能検査でもPRISmのパターンを示す症例をしばしば経験しますが、FVCの低下も含めた評価と長期的なフォローアップの必要性を示唆する重要な知見と考えられます。

背景：
多くの研究でPRISm（FEV1/FVC比が保たれFEV1が低下する病態）が有害な臨床転帰と関連することが示されています。しかし、特にFVCに関連したPRISmの重症度が死亡リスクに与える影響は明確になっていません。

研究デザイン：
本後ろ向き研究は、2003年から2020年の間にサムスンメディカルセンターの健康増進センターで包括的な健康診断を受けた40歳以上の個人を対象としました。PRISmはFEV1/FVC ≥ 0.7かつFEV1が予測値の80%未満と定義されました。参加者は正常肺機能、正常FVCを伴うPRISm、低FVC（予測値の80%未満）を伴うPRISmの3群に分類されました。カプランマイヤー法とCox比例ハザードモデルを用いて全死亡率を比較しました。

結果：
106,458人の対象者のうち、86,208人が正常肺機能を示し、6,249人が正常FVCを伴うPRISm、14,001人が低FVCを伴うPRISmでした。中央値10.1年の追跡期間中に2,219人が死亡しました。PRISmを有する個人は正常肺機能の個人と比較して累積死亡率が高く（10,000人年あたり39対16；調整ハザード比1.43、95%信頼区間1.31-1.56）、正常FVCおよび低FVCを伴うPRISmの全死亡に対する完全調整ハザード比は、それぞれ1.25（95%信頼区間1.03-1.52）および1.47（95%信頼区間1.33-1.62）でした。PRISmは死亡リスクの増加と関連し、特に低FVCを伴う場合にそのリスクが高いことが示されました。