注目論文:新型コロナウイルスワクチン接種とPost-COVID状態の予防効果

呼吸器内科
COVID-19の軽症例においても、mRNAワクチン接種が新型コロナウイルス後遺症Post-COVID conditions(PCC)の発症リスクを低減させることが示されました。特に3回目接種により、消化器症状や神経症状などのPCCリスクが60-70%低下することが確認されました。これは、重症化予防に加えて、PCCの予防という観点からもワクチン接種の意義を示す重要なエビデンスと考えられます。
Association of Messenger RNA Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Vaccination and Reductions in Post COVID Conditions Following Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 Infection in a US Prospective Cohort of Essential Workers
mRNAコロナウイルスワクチン接種とSARS-CoV-2感染後のPost-COVID状態減少との関連:米国エッセンシャルワーカーの前向きコホート研究
Mak J, Khan S, Britton A, et al.
J Infect Dis. 2024; jiae556
https://doi.org/10.1093/infdis/jiae556
背景:
軽症の非入院COVID-19後のPost-COVID conditions(PCC)のリスクに対するワクチン接種の効果に関するデータは限られています。本研究は、デルタ株とオミクロン株優勢期における軽症感染者に対して、COVID-19ワクチン接種がPCCを予防できるかを評価しました。

研究デザイン:
本研究は、HEROES-RECOVERコホート内のケース・コントロール研究として実施されました。2021年6月28日から2022年9月14日の間にSARS-CoV-2感染が確認された18歳以上の参加者を対象に、初期感染後4週間以上持続する症状として定義されるPCCについて調査を行いました。PCCを自己報告した参加者をケース、PCCがないと自己報告した参加者をコントロールとし、mRNAワクチン接種(2回または3回の単価ワクチン)の状況を評価しました。ワクチン接種者と未接種者におけるPCCのオッズ比をロジスティック回帰で比較しました。

結果:
936名の参加者のうち、23.6%がPCCを報告し、83.2%がワクチン接種を受けていました。3回目のワクチン接種を受けた参加者は、未接種者と比較して、PCC関連の消化器症状、神経症状、およびその他の症状のオッズ比が低下していました(調整オッズ比[95%信頼区間]:それぞれ0.37[0.16-0.85]、0.56[0.32-0.97]、0.48[0.25-0.91])。3回のワクチン接種はデルタ株とオミクロン株優勢期の両方において、軽症感染者のPCC発症を予防することが示され、PCCの予防手段としてワクチン接種が重要であることが確認されました。