注目論文:重症難治性喘息における生物学的製剤の治療効果予測に対する気管支生検の役割

呼吸器内科
生物学的製剤による治療を受ける重症難治性喘息患者において、気管支生検による組織学的評価が治療効果の予測に有用であることが示されました。特に、血中好酸球数やFeNOによるT2炎症スコアと比較して、気管支生検による病理スコアが治療効果をより正確に予測できることが明らかになりました。これは、経口ステロイド使用例や抗IL-5/5R抗体使用例で特に顕著でした。
The role of bronchial biopsy in the prediction of response to biological therapy in severe uncontrolled asthma: a prospective study
重症難治性喘息における生物学的製剤の治療効果予測に対する気管支生検の役割:前向き研究
Cosío BG, Iglesias A, Shafiek H, Mosteiro M, Escribano I, Toledo-Pons N, Valera JL, Bellvert CG, Pérez de Llano L.
Chest. 2024 Dec 30:S0012-3692(24)05733-7
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39742914/
背景:
重症難治性喘息に対して生物学的製剤による治療を受ける患者の約3分の2は完全な治療反応を示さないことが知られています。

研究デザイン:
本研究は多施設前向き研究です。生物学的製剤による治療の候補となる重症難治性喘息患者を連続的に組み入れ、治療開始前に気管支鏡検査と生検を実施し、6ヶ月後に臨床効果を評価しました。気管支生検は既に検証された病理スコア(PS)に従って評価し、血中好酸球数とFeNOを含むT2炎症スコア(T2スコア)と比較して、生物学的製剤への治療反応性の予測能を検討しました。治療反応性は、増悪、経口ステロイド使用、喘息コントロールテスト(ACT)、FEV1改善を含む複合スコアに基づき、超反応、良好な反応、部分的/無反応に分類されました。

結果:
92名が登録され、78名が研究を完了しました。63名が抗IL-5/5R抗体(Mepolizumab、Reslizumab、Benralizumab)を、15名がDupilumabを投与され、超反応例はそれぞれ36.5%と26.6%でした(p=0.126)。病理スコアのみが治療反応性と独立して関連し、T2スコアは関連を認めませんでした。超反応例では病理スコアが有意に高値でした。特に経口ステロイド使用例や抗IL-5/5R抗体使用例において、病理スコアはT2スコアと比較してより優れた治療反応性の予測能を示しました。組織中の好酸球数が少ない(10個/視野未満)症例では、生物学的製剤への反応性が不良でした。気管支生検は、特にOCSを必要とする患者や抗IL5/5R製剤を投与される患者において、T2スコアよりも生物学的製剤への反応予測が正確でした。