注目論文:COPDに対するシングル吸入3剤併用療法の実臨床での有効性と安全性の比較
呼吸器内科
実臨床でのCOPDに対するシングル吸入3剤併用療法の比較データは貴重です。本研究では、ブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロール配合剤(1日2回吸入)がフルチカゾン/ウメクリジニウム/ビランテロール配合剤(1日1回吸入)と比較して、増悪リスクが若干高いことが示されました。また、環境への影響も考慮すると、ドライパウダー製剤の使用を推進する根拠となりうる重要な研究と考えられます。
Comparative effectiveness and safety of single inhaler triple therapies for chronic obstructive pulmonary disease: new user cohort study
慢性閉塞性肺疾患に対するシングル吸入3剤併用療法の有効性と安全性の比較:新規使用者コホート研究
Feldman WB, Suissa S, Kesselheim AS, Avorn J, Russo M, Schneeweiss S, et al.
BMJ 2024;387:e080409
https://doi.org/10.1136/bmj-2024-080409
慢性閉塞性肺疾患に対するシングル吸入3剤併用療法の有効性と安全性の比較:新規使用者コホート研究
Feldman WB, Suissa S, Kesselheim AS, Avorn J, Russo M, Schneeweiss S, et al.
BMJ 2024;387:e080409
背景:
ブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロール(1日2回定量噴霧式吸入器)とフルチカゾン/ウメクリジニウム/ビランテロール(1日1回ドライパウダー吸入器)の実臨床での有効性と安全性を比較検討することを目的としました。
研究デザイン:
米国の商業保険請求データを用いた新規使用者コホート研究です。2021年1月1日から2023年9月30日の間に、COPDと診断され40歳以上でいずれかの3剤配合剤を新規に開始した患者を対象としました。1:1傾向スコアマッチングを行い、主要評価項目は初回の中等度または重度のCOPD増悪(有効性)と肺炎による初回入院(安全性)としました。
結果:
傾向スコアマッチングにより20,388組の新規使用者ペアが対象となりました。ブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロール群は、初回の中等度または重度のCOPD増悪のリスクが9%高く(ハザード比1.09、95%信頼区間: 1.04-1.14、害を及ぼす必要数38)、肺炎による初回入院は同等(ハザード比1.00、95%信頼区間: 0.91-1.10)でした。初回の中等度COPD増悪は7%高く(ハザード比1.07、95%信頼区間: 1.02-1.12、害を及ぼす必要数54)、重度COPD増悪は29%高い(ハザード比1.29、95%信頼区間: 1.12-1.48、害を及ぼす必要数97)結果でした。ブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロールはフルチカゾン/ウメクリジニウム/ビランテロールと比較して、臨床転帰の改善は認められず、定量噴霧式吸入器の気候への影響も考慮すると、COPDに対してはフルチカゾン/ウメクリジニウム/ビランテロールの処方を推進することを考慮すべきかもしれません。
ブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロール(1日2回定量噴霧式吸入器)とフルチカゾン/ウメクリジニウム/ビランテロール(1日1回ドライパウダー吸入器)の実臨床での有効性と安全性を比較検討することを目的としました。
研究デザイン:
米国の商業保険請求データを用いた新規使用者コホート研究です。2021年1月1日から2023年9月30日の間に、COPDと診断され40歳以上でいずれかの3剤配合剤を新規に開始した患者を対象としました。1:1傾向スコアマッチングを行い、主要評価項目は初回の中等度または重度のCOPD増悪(有効性)と肺炎による初回入院(安全性)としました。
結果:
傾向スコアマッチングにより20,388組の新規使用者ペアが対象となりました。ブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロール群は、初回の中等度または重度のCOPD増悪のリスクが9%高く(ハザード比1.09、95%信頼区間: 1.04-1.14、害を及ぼす必要数38)、肺炎による初回入院は同等(ハザード比1.00、95%信頼区間: 0.91-1.10)でした。初回の中等度COPD増悪は7%高く(ハザード比1.07、95%信頼区間: 1.02-1.12、害を及ぼす必要数54)、重度COPD増悪は29%高い(ハザード比1.29、95%信頼区間: 1.12-1.48、害を及ぼす必要数97)結果でした。ブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロールはフルチカゾン/ウメクリジニウム/ビランテロールと比較して、臨床転帰の改善は認められず、定量噴霧式吸入器の気候への影響も考慮すると、COPDに対してはフルチカゾン/ウメクリジニウム/ビランテロールの処方を推進することを考慮すべきかもしれません。