注目論文:高齢者における呼吸器感染症関連入院に対するRSVワクチンの有効性評価

呼吸器内科
実臨床における高齢者RSVワクチンの有効性を示した重要な報告です。特に75歳以上や基礎疾患を有する高リスク患者において、RSV関連の下気道疾患による入院・救急外来受診に対して90%以上の高い予防効果が確認されました。
Estimated Vaccine Effectiveness for Respiratory Syncytial Virus-Related Lower Respiratory Tract Disease
RSウイルス関連下気道疾患に対するワクチン有効性の推定
Tartof SY, Aliabadi N, Goodwin G, Slezak J, Hong V, Ackerson B, et al.
JAMA Netw Open. 2024 Dec 2;7(12):e2450832.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39671195/
背景:
臨床試験ではRSVワクチンの下気道疾患に対する高い有効性が示されていましたが、75歳以上や基礎疾患を有する患者の割合が実臨床より少なく、入院や救急外来受診に対する有効性は十分に検討されていませんでした。

研究デザイン:
60歳以上の成人を対象とした後ろ向きTest-negative design症例対照研究です。2023年11月から2024年4月の期間に、Kaiser Permanente of Southern Californiaで下気道疾患による入院または救急外来受診した患者のうち、RSV検査を実施した症例を解析しました。対照群は、RSV陰性の下気道疾患症例とし、主解析では他のウイルス感染症を除外した厳密な定義を用いました。

結果:
解析対象7,047例の平均年齢は76.8歳で、93.3%が併存疾患を有していました。厳密な対照群を用いた調整後のワクチン有効性は91%(95%信頼区間:59-98%)でした。広義の対照群を用いた感度分析でも90%(95%信頼区間:59-97%)と同様の結果が得られました。75歳以上や併存疾患を有する高リスク集団において、RSVワクチンは下気道疾患による入院や救急外来受診に対して高い予防効果を示すことが確認されました。