注目論文:EGFR変異陽性NSCLCにおける免疫チェックポイント阻害薬の有効性と安全性:システマティックレビューとメタアナリシス

呼吸器内科
EGFR-TKI治療後に進行したEGFR変異陽性非小細胞肺癌患者における免疫チェックポイント阻害薬(ICI)ベースの治療戦略について、包括的なメタアナリシスの結果が報告されました。ICIと抗血管新生薬、化学療法の3剤併用が最も良好な無増悪生存期間を示しましたが、有害事象の増加には注意が必要です。
Efficacy and safety of immune checkpoint inhibitors for individuals with advanced EGFR-mutated non-small-cell lung cancer who progressed on EGFR tyrosine-kinase inhibitors: a systematic review, meta-analysis, and network meta-analysis
EGFR-TKI治療後進行EGFR変異陽性非小細胞肺癌患者における免疫チェックポイント阻害薬の有効性と安全性:システマティックレビュー、メタアナリシス、およびネットワークメタアナリシス
Zhao Y, He Y, Wang W, et al.
Lancet Oncol. 2024 Oct;25(10):1347-1356.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39159630/
背景:
EGFR-TKI治療後に進行したEGFR変異陽性非小細胞肺癌患者におけるICI治療の臨床的有用性については議論が続いています。本研究では、この患者群における様々なICIベースの治療戦略の臨床アウトカムを包括的に検討することを目的としました。

研究デザイン:
2024年1月31日までに公表された臨床試験を対象に、単群試験、ペアワイズ、およびネットワークメタアナリシスを実施しました。EGFR-TKI治療後に進行したEGFR変異陽性非小細胞肺癌患者を対象とした第1-3相臨床試験を解析対象とし、主要評価項目を無増悪生存期間としました。

結果:
17件の単群試験と15件のランダム化比較試験(計2886名)が解析対象となりました。7つのICIベースの治療戦略のうち、ICI単独療法では化学療法と比較して無増悪生存期間が短縮しましたが(HR 1.73、95%信頼区間 1.30-2.29)、ICIと抗血管新生薬、化学療法の3剤併用(HR 0.54、0.44-0.67)およびICIと化学療法の併用(HR 0.77、0.67-0.88)では延長が認められました。ネットワークメタアナリシスでは、3剤併用療法が最も良好な無増悪生存期間を示しましたが、有害事象のリスクも増加していました。

結論:
EGFR-TKI治療後に進行したEGFR変異陽性非小細胞肺癌患者において、ICIと抗血管新生薬、化学療法の3剤併用が最適な治療選択肢として同定されました。毒性は許容範囲内でしたが、注意深い観察が必要です。また、ICIと化学療法の併用も標準治療である化学療法単独と比較して有意に良好な効果を示しました。これらの知見は、治療抵抗性患者における治療戦略の選択に重要な示唆を与えるものと考えられます。