注目論文:日本における居住地からの医療機関へのアクセス性とインフルエンザワクチン接種率の関連

呼吸器内科
日本の全国規模のインターネット調査データを用いた研究で、65歳以上の高齢者において、居住地から15分以内で到達できる医療機関数が少ないほど、インフルエンザワクチン接種率が低いことが示されました。
Number of medical facilities within driving distance of residence and influenza vaccination status in Japan: A cross-sectional study
日本における居住地からの医療機関までの運転距離とインフルエンザワクチン接種状況:横断研究
Machida M, Inoue S, Nakaya T, Fukushima S, Fukushima W, Hara M, Tabuchi T.
Hum Vaccin Immunother. 2025 Dec;21(1):2441407.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39704477/
背景:
ワクチン躊躇は主に信頼性、自己満足、地理的アクセス性を含む利便性から構成されます。しかし、先進国において、ワクチン接種サービスへの地理的アクセス性とワクチン接種状況との関連に焦点を当てた研究は少なく、これまでの研究結果も一致していません。

研究デザイン:
本横断研究は、日本の全国規模のインターネット調査(n=27,440)を用いて、居住地から15分以内の運転距離にある医療機関数とインフルエンザワクチン接種状況との関連を明らかにすることを目的としました。参加者の居住地は郵便番号で特定し、地理情報システムデータを用いて15分以内の運転距離にある医療機関数を算出しました。参加者は近隣の医療機関数に基づき4分位に分類され、過去1年間のインフルエンザワクチン接種状況を報告しました。

結果:
65歳以上の参加者において、居住地から15分以内の運転距離にある医療機関数が少ない群は、多い群と比較してインフルエンザワクチン接種率が有意に低いことが示されました(Q4に対するQ1の有病率比:0.93、95%信頼区間0.87-0.99)。一方、65歳未満の参加者では、この関連は認められませんでした。日本のような先進国においても、高齢者のワクチン躊躇にワクチン接種サービスへの地理的アクセス性が影響を与える可能性があることが示唆されました。
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