注目論文:健常成人における市中肺炎外来治療の抗菌薬レジメン別安全性の比較

呼吸器内科
基礎疾患のない成人の市中肺炎外来治療において、広域抗菌薬の使用は狭域抗菌薬と比較して有害事象のリスクが高いことが示されました。
Comparative safety of different antibiotic regimens for the treatment of outpatient community-acquired pneumonia among otherwise healthy adults
基礎疾患のない成人における外来市中肺炎治療の抗菌薬レジメン別安全性の比較
Butler AM, Nickel KB, Olsen MA, et al.
Clin Infect Dis. 2024 Oct 23:ciae519.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39442057/
背景:
市中肺炎(CAP)治療における抗菌薬レジメンの安全性を比較したエビデンスは限られています。本研究では、基礎疾患のない非高齢成人のCAP治療において、抗菌薬レジメンに関連する有害事象(ADE)のリスクを比較しました。

研究デザイン:
2007年から2019年の期間で、胸部X線検査で評価され、同日にCAP関連の経口抗菌薬が処方された18-64歳の商業保険加入者を対象とした新規使用者コホート研究を実施しました。ADEの追跡期間は2-90日(例:腎不全は14日)で、傾向スコア加重Kaplan-Meier法を用いて100治療エピソードあたりのリスク差とリスク比を推定しました。

結果:
基礎疾患のないCAP患者145,137名のうち、52%が狭域抗菌薬(マクロライド44%、ドキシサイクリン8%)、48%が広域抗菌薬(フルオロキノロン39%、β-ラクタム7%、β-ラクタム+マクロライド3%)を投与されました。マクロライド単剤療法と比較して、各広域抗菌薬レジメンは複数のADEリスク増加と関連していました(例:β-ラクタム:悪心・嘔吐・腹痛[1000あたりのリスク差 3.20; 95%信頼区間 0.99-5.73]、非C.difficile下痢症[4.61; 2.47-6.82]、外陰部カンジダ症/膣炎[3.57; 0.87-6.88])。狭域抗菌薬レジメン間ではADEリスクに大きな差は認められませんでした。

結論:
外来のCAP治療において、広域抗菌薬は基礎疾患のない成人でADEリスクの増加と関連していました。抗菌薬関連ADEを減少させるためには、広域抗菌薬の適正使用を推進する抗菌薬適正使用支援が必要です。