注目論文:SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬による肺炎・重症敗血症リスク低減効果の比較検討
呼吸器内科
2型糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬が、肺炎や敗血症のリスクを有意に低下させることが報告されました。特にGLP-1受容体作動薬は約40%のリスク低減効果を示しており、これらの薬剤の新たな予防効果として注目されます。糖尿病患者の感染症予防において、薬剤選択の新たな判断材料になる可能性があります。
Comparative estimate of glucose-lowering therapies on risk of incident pneumonia and severe sepsis: an analysis of real-world cohort data
糖尿病治療薬による肺炎および重症敗血症発症リスクへの影響:実臨床データの解析
Henney AE, Riley DR, Hydes TJ, Anson M, Ibarburu GH, Frost F, Alam U, Cuthbertson DJ.
Thorax. 2024 Dec 7:thorax-2024-221906.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39645259/
糖尿病治療薬による肺炎および重症敗血症発症リスクへの影響:実臨床データの解析
Henney AE, Riley DR, Hydes TJ, Anson M, Ibarburu GH, Frost F, Alam U, Cuthbertson DJ.
Thorax. 2024 Dec 7:thorax-2024-221906.
背景:
Sodium-glucose cotransporter-2阻害薬(SGLT2i)とグルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(GLP-1 RA)は2型糖尿病の治療薬です。血糖降下作用や心腎保護作用に加えて、これらの薬剤は肺炎や敗血症に対する予防効果を持つ可能性があります。
研究デザイン:
グローバルな医療データベースであるTriNetXの匿名化された電子カルテを用いた後ろ向きコホート研究を実施しました。2型糖尿病成人患者を対象に、SGLT2iまたはGLP-1 RAを処方された群とDPP-4阻害薬を処方された群を比較する2つの解析を行いました。新規使用者の実薬対照デザインを採用し、肺炎および重症敗血症の発症までの時間をアウトカムとしました。交絡因子を制御するために1:1の傾向スコアマッチングを適用し、12ヶ月間追跡しました。
結果:
傾向スコアマッチング後、SGLT2i群とDPP-4i群の比較では352,687名が対象となりました。SGLT2i治療は肺炎発症リスク(HR 0.75、95%CI 0.73-0.78)および重症敗血症(HR 0.75、95%CI 0.73-0.77)の低減と関連していました。GLP-1 RA群とDPP-4i群の比較では331,863名が対象となり、GLP-1 RA治療は肺炎発症リスク(HR 0.60、95%CI 0.58-0.62)および重症敗血症(HR 0.61、95%CI 0.59-0.63)の低減と関連していました。両薬剤による感染症リスク低減効果の臨床的意義を探るため、さらなる研究とランダム化比較試験の実施が期待されます。
Sodium-glucose cotransporter-2阻害薬(SGLT2i)とグルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(GLP-1 RA)は2型糖尿病の治療薬です。血糖降下作用や心腎保護作用に加えて、これらの薬剤は肺炎や敗血症に対する予防効果を持つ可能性があります。
研究デザイン:
グローバルな医療データベースであるTriNetXの匿名化された電子カルテを用いた後ろ向きコホート研究を実施しました。2型糖尿病成人患者を対象に、SGLT2iまたはGLP-1 RAを処方された群とDPP-4阻害薬を処方された群を比較する2つの解析を行いました。新規使用者の実薬対照デザインを採用し、肺炎および重症敗血症の発症までの時間をアウトカムとしました。交絡因子を制御するために1:1の傾向スコアマッチングを適用し、12ヶ月間追跡しました。
結果:
傾向スコアマッチング後、SGLT2i群とDPP-4i群の比較では352,687名が対象となりました。SGLT2i治療は肺炎発症リスク(HR 0.75、95%CI 0.73-0.78)および重症敗血症(HR 0.75、95%CI 0.73-0.77)の低減と関連していました。GLP-1 RA群とDPP-4i群の比較では331,863名が対象となり、GLP-1 RA治療は肺炎発症リスク(HR 0.60、95%CI 0.58-0.62)および重症敗血症(HR 0.61、95%CI 0.59-0.63)の低減と関連していました。両薬剤による感染症リスク低減効果の臨床的意義を探るため、さらなる研究とランダム化比較試験の実施が期待されます。