注目論文:肺真菌症:最新の知見と課題

呼吸器内科
肺真菌症の包括的なレビューが報告されました。本稿では、アスペルギルス症を中心に、診断から治療までの最新の知見がまとめられています。薬剤耐性の出現や診断の遅れなど、臨床現場で直面する課題に対して、肺マイクロバイオームの理解や個別化医療などの新しいアプローチの可能性も示唆されており、今後の展望も含めた重要な総説となっています。
Fungal lung disease
肺真菌症
Jaggi TK, Agarwal R, Tiew PY, Shah A, Lydon EC, Hage CA, Waterer GW, Langelier CR, Delhaes L, Chotirmall SH.
Eur Respir J. 2024 Nov 28;64(5):2400803.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39362667/
背景:
肺真菌症は、多様な病原体と関連する臨床状態を包含し、世界的な健康課題となっています。疾患の種類と重症度は、宿主の免疫状態と感染する真菌の種類によって決定されます。最も一般的な疾患群は糸状菌であるアスペルギルス属に関連し、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、感作、アスペルギローマ、慢性および侵襲性肺アスペルギルス症が含まれます。

研究デザイン:
本総説では、疫学的特徴、地理的・環境的影響、宿主の併存疾患、診断モダリティーの進歩(新しい分子アッセイやバイオマーカーを含む)、治療戦略、薬剤耐性の問題、および今後の展望について包括的にレビューしています。

結果:
肺真菌症は疫学的に不均一であり、地理、環境、宿主の併存疾患の影響を受けます。診断法は進化し続け、新しい分子アッセイやバイオマーカーが含まれるようになりましたが、特に資源の限られた環境での迅速かつ正確な診断の達成や、他の肺疾患との鑑別など、課題が残されています。肺真菌症の治療戦略は主に抗真菌薬に依存していますが、薬剤耐性株の出現は実質的な世界的脅威となっており、既存の治療上の課題をさらに複雑にしています。新しい抗真菌薬の開発や肺マイクロバイオームに関する理解の深化により、診断と治療に対する新しい個別化されたアプローチが期待されます。薬剤耐性と治療の有害作用を軽減するための革新的な方法論が必要とされています。この最新のレビューは、肺真菌症の現状を説明し、主要な臨床的知見、現在の課題、および診断と治療に対する新しいアプローチを強調しています。