注目論文:医師の業務コントロールとバーンアウト・離職意向の関連性:米国多施設研究
呼吸器内科
医師のバーンアウトや離職は世界的な問題となっています。本研究では、業務に関する裁量権の低下がバーンアウトや離職意向と関連することが示されました。当院でも医師の働き方改革を進めていますが、単なる労働時間の短縮だけでなく、医師の裁量権も考慮した職場環境の改善が重要と考えられます。
Association of Work Control With Burnout and Career Intentions Among U.S. Physicians: A Multi-Institution Study
米国医師における業務コントロールとバーンアウト・キャリア意向との関連:多施設研究
Sinsky CA, Brown RL, Rotenstein L, Carlasare LE, Shah P, Shanafelt TD
Ann Intern Med. 2024 Nov 26
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39586098/
米国医師における業務コントロールとバーンアウト・キャリア意向との関連:多施設研究
Sinsky CA, Brown RL, Rotenstein L, Carlasare LE, Shah P, Shanafelt TD
Ann Intern Med. 2024 Nov 26
背景
医師が臨床業務をコントロールできることは、バーンアウトやキャリア意向と関連すると仮説が立てられています。
研究デザイン
2022年11月から2023年12月にかけて、米国の医師を対象とした横断的調査を実施しました。業務コントロールに関する新しい多要素評価指標、Mini-Z単項目バーンアウト指標、診療時間削減意向(ITR)、現在の職場を去る意向について評価しました。
結果
回答者のうち、患者数のコントロールが適切(61.4%)、診療チームメンバーの選定が適切(60.6%)、業務量のコントロールが適切(61.3%)と回答しました。スタッフ採用と診療スケジュールについては、それぞれ49.0%と74.6%が適切なコントロールがあると回答しました。58.3%が責任範囲に見合う十分な権限/自律性があると回答しました。個人的・職業的特性を調整した多変量解析では、患者数、チーム構成、診療スケジュール、責任範囲、業務量に対する不十分なコントロールは、それぞれ独立してバーンアウトと関連していました。特に患者数と業務量に対する不十分なコントロールは、診療時間削減意向と独立して関連していました。本研究は横断研究であり因果関係は特定できず、100人以上の医師がいる施設の便宜的サンプルであるため、米国の全医師を代表するものではないという限界があります。業務の特定の側面に対するコントロールの欠如が、バーンアウトや診療時間削減・離職意向と関連することが示され、バーンアウト対策や定着率向上には、医師が臨床業務環境の適切な側面をコントロールできる方策を検討する必要性が示唆されました。
医師が臨床業務をコントロールできることは、バーンアウトやキャリア意向と関連すると仮説が立てられています。
研究デザイン
2022年11月から2023年12月にかけて、米国の医師を対象とした横断的調査を実施しました。業務コントロールに関する新しい多要素評価指標、Mini-Z単項目バーンアウト指標、診療時間削減意向(ITR)、現在の職場を去る意向について評価しました。
結果
回答者のうち、患者数のコントロールが適切(61.4%)、診療チームメンバーの選定が適切(60.6%)、業務量のコントロールが適切(61.3%)と回答しました。スタッフ採用と診療スケジュールについては、それぞれ49.0%と74.6%が適切なコントロールがあると回答しました。58.3%が責任範囲に見合う十分な権限/自律性があると回答しました。個人的・職業的特性を調整した多変量解析では、患者数、チーム構成、診療スケジュール、責任範囲、業務量に対する不十分なコントロールは、それぞれ独立してバーンアウトと関連していました。特に患者数と業務量に対する不十分なコントロールは、診療時間削減意向と独立して関連していました。本研究は横断研究であり因果関係は特定できず、100人以上の医師がいる施設の便宜的サンプルであるため、米国の全医師を代表するものではないという限界があります。業務の特定の側面に対するコントロールの欠如が、バーンアウトや診療時間削減・離職意向と関連することが示され、バーンアウト対策や定着率向上には、医師が臨床業務環境の適切な側面をコントロールできる方策を検討する必要性が示唆されました。