注目論文:二価ワクチン追加接種とJN.1株感染・重症化予防効果の検討
呼吸器内科
シンガポールの全国規模のデータを用いて、JN.1株が主流となった時期における二価ワクチン(二価ワクチン、XBB1.5対応型)の感染予防効果と重症化予防効果が報告されました。最新の追加接種から120日以内の症例では、感染、救急受診、入院のいずれも有意なリスク低下が確認され、特に以前の感染歴がある場合でも入院リスクの低下が認められました。年1回の追加接種が、新興変異株に対しても有効な戦略となる可能性を示唆する重要な知見と考えられます。
Risks of SARS-CoV-2 JN.1 Infection and COVID-19-Associated Emergency Department Visits/Hospitalizations Following Updated Boosters and Prior Infection: A Population-Based Cohort Study
ワクチン追加接種と既往感染後のSARS-CoV-2 JN.1株感染および救急受診・入院リスクの検討:集団ベースコホート研究
Chong C, Wee LE, Jin X, Zhang M, Malek MIA, Ong B, Lye D, Chiew CJ, Tan KB.
Clin Infect Dis. 2024 Nov 22;79(5):1190-1196.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38922669/
ワクチン追加接種と既往感染後のSARS-CoV-2 JN.1株感染および救急受診・入院リスクの検討:集団ベースコホート研究
Chong C, Wee LE, Jin X, Zhang M, Malek MIA, Ong B, Lye D, Chiew CJ, Tan KB.
Clin Infect Dis. 2024 Nov 22;79(5):1190-1196.
背景:
新興変異株であるJN.1株に対する新型コロナウイルスワクチン(二価ワクチン/XBB 1.5対応型単価ワクチン)の予防効果に関するデータは限られています。
研究デザイン:
2023年11月26日から2024年1月13日までのJN.1株が優勢な時期において、シンガポールの18歳以上の追加接種済み全国民を対象とした後ろ向きコホート研究を実施しました。多変量Cox回帰分析を用いて、ワクチン接種状況と既往感染の有無で層別化し、1年以上前に追加接種を受けた群を対照として、SARS-CoV-2感染および救急受診・入院リスクを評価しました。ワクチン接種歴と感染歴は全国データベースから分類しました。
結果:
追加接種済みの成人308万6562人(観察期間合計1億4686万3476人日)を対象としました。JN.1株流行期間中、28,160件の感染、2,926件の入院、3,747件の救急受診が記録されました。1年以上前に旧型単価ワクチンで追加接種を受けた群と比較して、XBB.1.5対応型ワクチンを8-120日前に接種した群では、JN.1株感染(調整ハザード比[aHR] 0.59、95%信頼区間[CI] 0.52-0.66)、救急受診(aHR 0.50、95%CI 0.34-0.73)、入院(aHR 0.58、95%CI 0.37-0.91)のリスクが低下しました。二価ワクチンを121-365日前に接種した群でも、感染(aHR 0.92、95%CI 0.88-0.95)と救急受診(aHR 0.80、95%CI 0.70-0.90)のリスク低下が認められました。既往感染者に限定した解析でも、XBB.1.5対応型ワクチンを8-120日前に接種した群では入院リスクの低下(aHR 0.57、95%CI 0.33-0.97)が維持されていました。これらの結果から、ワクチンの最近の追加接種は、既往感染の有無にかかわらずJN.1株による感染および救急受診・入院に対して予防効果を示し、COVID19のエンデミック化における年1回の追加接種の有効性が示唆されました。
新興変異株であるJN.1株に対する新型コロナウイルスワクチン(二価ワクチン/XBB 1.5対応型単価ワクチン)の予防効果に関するデータは限られています。
研究デザイン:
2023年11月26日から2024年1月13日までのJN.1株が優勢な時期において、シンガポールの18歳以上の追加接種済み全国民を対象とした後ろ向きコホート研究を実施しました。多変量Cox回帰分析を用いて、ワクチン接種状況と既往感染の有無で層別化し、1年以上前に追加接種を受けた群を対照として、SARS-CoV-2感染および救急受診・入院リスクを評価しました。ワクチン接種歴と感染歴は全国データベースから分類しました。
結果:
追加接種済みの成人308万6562人(観察期間合計1億4686万3476人日)を対象としました。JN.1株流行期間中、28,160件の感染、2,926件の入院、3,747件の救急受診が記録されました。1年以上前に旧型単価ワクチンで追加接種を受けた群と比較して、XBB.1.5対応型ワクチンを8-120日前に接種した群では、JN.1株感染(調整ハザード比[aHR] 0.59、95%信頼区間[CI] 0.52-0.66)、救急受診(aHR 0.50、95%CI 0.34-0.73)、入院(aHR 0.58、95%CI 0.37-0.91)のリスクが低下しました。二価ワクチンを121-365日前に接種した群でも、感染(aHR 0.92、95%CI 0.88-0.95)と救急受診(aHR 0.80、95%CI 0.70-0.90)のリスク低下が認められました。既往感染者に限定した解析でも、XBB.1.5対応型ワクチンを8-120日前に接種した群では入院リスクの低下(aHR 0.57、95%CI 0.33-0.97)が維持されていました。これらの結果から、ワクチンの最近の追加接種は、既往感染の有無にかかわらずJN.1株による感染および救急受診・入院に対して予防効果を示し、COVID19のエンデミック化における年1回の追加接種の有効性が示唆されました。