注目論文:mRNAコロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種の安全性:ランダム化比較試験

呼吸器内科
米国の3施設で実施されたRCTより、mRNAコロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種は、順次接種と比較して有害事象の発生率に有意差がないことが示されました。この結果は、両ワクチンの同時接種という選択肢の安全性を支持するものです。同時接種による接種率向上が期待できる重要なエビデンスと考えられます。
Safety of Simultaneous vs Sequential mRNA COVID-19 and Inactivated Influenza Vaccines: A Randomized Clinical Trial
mRNAコロナワクチンと不活化インフルエンザワクチンの同時接種と順次接種の安全性:ランダム化臨床試験
Walter EB, Schlaudecker EP, Talaat KR, et al.
JAMA Netw Open. 2024 Nov 4;7(11):e2443166.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39504023/
背景:
COVID-19ワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種に関するランダム化臨床試験のデータは限られています。


研究デザイン:
2021年10月8日から2023年6月14日まで、米国の3施設で実施された無作為化プラセボ対照試験。5歳以上の非妊娠者で、インフルエンザワクチンとmRNAコロナワクチンの両方を接種予定の335名が対象となりました。同時接種群と順次接種群(1-2週間間隔)に無作為に割り付けられました。


結果:
・主要評価項目である中等度以上の発熱、悪寒、筋肉痛、関節痛の複合的な反応原性は、同時接種群(25.6%)が順次接種群(31.3%)と比較して非劣性でした(調整差:-5.6%、95%CI:-15.2〜4.0)。
・各接種時の有害事象発生率も両群で同程度でした(1回目:23.8% vs 28.3%、2回目:3.0% vs 5.4%)。
・重篤な有害事象(0.6% vs 0.6%)や特に注目すべき有害事象(11.2% vs 5.4%)にも有意差は認められませんでした。
・重度の反応原性がみられた参加者のQOL(EQ-5D-5L)スコアは、接種前の0.92から接種後0.81-0.82へと低下しました。