注目論文:全身性リウマチ性疾患患者におけるST合剤低用量予防法の有効性と安全性

呼吸器内科
ステロイド治療中の全身性リウマチ性疾患(SRD)患者において、低用量のST合剤(SMX/TMP)によるニューモシスチス肺炎(PCP)予防の有効性と安全性が検討されました。本研究では、低用量療法(1回1錠週に2回)がPCP予防において通常用量と同等の有効性を示し、副作用による中止率の低減も確認されました。これにより、SRD患者におけるPCP予防の新たな治療オプションとして期待されます。
Effectiveness and safety of lower dose sulfamethoxazole/trimethoprim for Pneumocystis jirovecii pneumonia prophylaxis in patients with systemic rheumatic diseases receiving moderate-to high-dose glucocorticoids
中等度〜高用量ステロイドを投与されている全身性リウマチ性疾患患者におけるニューモシスチス肺炎予防のためのST合剤低用量治療の有効性と安全性
Ohmura SI, Masui T, Yukishima T, Ohkubo Y, Yonezawa H, Miyamoto T.
Respir Investig. 2024 Oct 22;62(6):1195-1201.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39442269/
背景:
全身性リウマチ性疾患(SRD)患者で中等度以上のステロイド治療を受けている場合、ニューモシスチス肺炎(PCP)予防としてST合剤(SMX/TMP)が推奨されますが、その副作用リスクにより中止が問題となります。本研究では、低用量SMX/TMPが通常用量と比較してPCP予防における有効性と安全性にどのような違いをもたらすかを検討しました。


デザイン:
2006年1月から2024年4月の間に日本でSRDと診断され、ステロイド治療を受けていた患者データを後ろ向きに解析しました。対象は低用量群(一回一錠を週二回、非連続日)と通常用量群(一回一錠を毎日)に分け、主要評価項目としてSMX/TMP開始後1年以内のPCP発症率を比較しました。副次評価項目には、1年以内の治療中止率および重篤な副作用の発生率を調整後に評価しました。


結果:
最終的に186名(低用量群60名、通常用量群126名)のデータを解析対象としました。PCP発症例は1年間でいずれの群でも認められませんでしたが、低用量群の2名が無症候性のPCP疑いで通常用量に増量されました。調整後の解析では、低用量群は通常用量群に比べて治療中止率および重篤な副作用の発生率が有意に低いことが示されました。低用量のST合剤療法は通常用量と同等のPCP予防効果を有し、副作用による治療中止率も低いため、SRD患者に対する有効な選択肢となる可能性が示唆されました。