注目論文:成人における肺炎球菌ワクチン接種戦略の有効性比較
呼吸器内科
米国の退役軍人医療機関(VHA)におけるデータを用い、成人の侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)予防に対する13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)と23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン(PPSV23)、およびその組み合わせの効果が比較検討されました。本研究により、リアルワールドデータにおいて、PCV13接種後にPPSV23を接種する戦略がIPDリスクの低減に有効であることが示されました。
Comparative effectiveness of pneumococcal vaccination strategies to prevent invasive pneumococcal disease: a population-based cohort study at the veterans health administration in the United States
成人における肺炎球菌ワクチン接種戦略の有効性比較:米国退役軍人医療機関の集団ベースコホート研究
Hasegawa S, Jones MP, Kakiuchi S, Perencevich EN, Goto M.
Clin Microbiol Infect. 2024 Sep 17
(24)00437-3.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39299558/
成人における肺炎球菌ワクチン接種戦略の有効性比較:米国退役軍人医療機関の集団ベースコホート研究
Hasegawa S, Jones MP, Kakiuchi S, Perencevich EN, Goto M.
Clin Microbiol Infect. 2024 Sep 17
(24)00437-3.
背景:
成人のIPD予防に対するPCV13およびPPSV23、並びにその組み合わせの有効性は十分には調査されていません。本研究は、米国のVHAデータを用いてIPD予防効果を比較検討することを目的としています。
研究デザイン:
2005年から2021年の期間において、VHAのプライマリケアを受ける65~74歳の未接種患者を対象とし、IPD発症までの期間を追跡しました。死亡は競合リスク事象とし、Cox回帰モデルを用いて原因特異的ハザード比(aHR)を推定しました。PCV13単独、PPSV23単独、PCV13後のPPSV23、PPSV23後のPCV13の接種順を時変共変量として組み込み、患者の年齢、併存疾患なども調整しました。
結果:
対象患者3,044,067名中、863,958名(28.4%)が死亡し、1,731件(0.06%)のIPD症例が確認されました。IPDの総発生率は10万患者年あたり5.36件で、921,070名(30.3%)が少なくとも1回の肺炎球菌ワクチンを接種していました。多変量解析では、PCV13単独ではIPDリスクの低減に関連しませんでしたが、PPSV23単独接種は有意な防御効果を示しました(aHR, 0.70; 95% CI, 0.59-0.83)。PCV13後にPPSV23を接種する戦略は特に効果が高く(aHR, 0.54; 95% CI, 0.36-0.83)、PPSV23後にPCV13を接種する順序よりも優れていました(aHR, 0.73; 95% CI, 0.58-0.91)。VHAにおける大規模コホート研究により、PCV13とPPSV23の組み合わせ、特にPCV13接種後のPPSV23接種がIPDリスクの低減に有効であることが示されました。ワクチン接種の順序が追加の予防効果に影響する可能性が示唆されており、今後は新しい肺炎球菌ワクチンの効果についてもさらに検討が必要です。
成人のIPD予防に対するPCV13およびPPSV23、並びにその組み合わせの有効性は十分には調査されていません。本研究は、米国のVHAデータを用いてIPD予防効果を比較検討することを目的としています。
研究デザイン:
2005年から2021年の期間において、VHAのプライマリケアを受ける65~74歳の未接種患者を対象とし、IPD発症までの期間を追跡しました。死亡は競合リスク事象とし、Cox回帰モデルを用いて原因特異的ハザード比(aHR)を推定しました。PCV13単独、PPSV23単独、PCV13後のPPSV23、PPSV23後のPCV13の接種順を時変共変量として組み込み、患者の年齢、併存疾患なども調整しました。
結果:
対象患者3,044,067名中、863,958名(28.4%)が死亡し、1,731件(0.06%)のIPD症例が確認されました。IPDの総発生率は10万患者年あたり5.36件で、921,070名(30.3%)が少なくとも1回の肺炎球菌ワクチンを接種していました。多変量解析では、PCV13単独ではIPDリスクの低減に関連しませんでしたが、PPSV23単独接種は有意な防御効果を示しました(aHR, 0.70; 95% CI, 0.59-0.83)。PCV13後にPPSV23を接種する戦略は特に効果が高く(aHR, 0.54; 95% CI, 0.36-0.83)、PPSV23後にPCV13を接種する順序よりも優れていました(aHR, 0.73; 95% CI, 0.58-0.91)。VHAにおける大規模コホート研究により、PCV13とPPSV23の組み合わせ、特にPCV13接種後のPPSV23接種がIPDリスクの低減に有効であることが示されました。ワクチン接種の順序が追加の予防効果に影響する可能性が示唆されており、今後は新しい肺炎球菌ワクチンの効果についてもさらに検討が必要です。