注目論文:COVID-19入院患者におけるエビデンスに基づく最適治療の公衆衛生上の利点

呼吸器内科
リアルワールドデータにおいて、COVID-19入院患者に対するレムデシビルの使用が、全体の死亡率を減少させること示した研究です。本研究は、COVID-19入院時にレムデシビルを早期投与することで、特に高齢者や免疫低下患者を中心に救命できる可能性があるとする公衆衛生モデルを提供しています。リアルワールドデータにおいて、COVID-19入院患者に対するレムデシビルの使用が、全体の死亡率を減少させること示した研究です。本研究は、COVID-19入院時にレムデシビルを早期投与することで、特に高齢者や免疫低下患者を中心に救命できる可能性があるとする公衆衛生モデルを提供しています。
Public Health Benefits of Applying Evidence-Based Best Practices in Managing Patients Hospitalized for COVID-19
COVID-19入院患者管理におけるエビデンスに基づく最適治療の公衆衛生上の利点
Kalil AC, Chandak A, Moore LSP, Ahuja N, Kolditz M, Casciano R, Kadambi A, Yaghoubi M, Tsiodras S, Malin JJ, Mozaffari E, Bartoletti M.
Clin Infect Dis. 2024 Oct 25
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39449663/
背景:
COVID-19による死亡率は引き続き公衆衛生上の懸念であり、COVID-19入院患者の最適な治療管理は進化し続けています。本研究では、現実のデータに基づいたモデルを構築し、COVID-19入院患者におけるレムデシビル(RDV)使用の増加が臨床に与える影響を定量化しました。


研究デザイン:
PINC AIデータベースから2023年1月から12月に入院したCOVID-19患者の記録を使用し、レムデシビルを使用した群(「RDV」)と未使用の群(「No RDV」)、および酸素補給要件に基づいてさらに細分化しました(酸素非使用:NSOc、低流量酸素:LFO、高流量酸素/非侵襲的換気:HFO/NIV)。高齢者や免疫低下患者などの脆弱なサブグループも評価対象としました。28日間の院内死亡率に対して、既存のハザード比を適用し、未使用群にレムデシビルを使用した場合の救命数を予測しました。


結果:
2023年のCOVID-19による入院患者84,810名のうち、13,233名の「No RDV」群は「RDV」群と同様の臨床的特徴を持っていました。モデルにより、この患者にレムデシビルを投与することで231人の命を救うことができたと予測されました。全国規模で推定すると、469~1,126人(95% CI)の命が救われる可能性が示され、特に89%は高齢者、19%は免疫低下患者でした。また、救命効果の71%はNSOcまたはLFO患者に見られました。本公衆衛生モデルは、COVID-19入院患者に対してエビデンスに基づいた最適治療として入院時のレムデシビル使用の有用性を強調しており、SARS-CoV-2感染による死亡の抑制に寄与することが示唆されます。