注目論文:住環境におけるアスペルギルス属への曝露とCOPD悪化の関連
呼吸器内科
コメント:
A. fumigatusへの感作が慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のアウトカムを悪化させることは知られていますが、今回の研究では住環境での曝露がCOPD悪化に与える影響を評価しました。シンガポールとバンクーバーという異なる気候条件下で行われた研究からも、住環境でのA. fumigatusの存在がCOPD増悪に関連していることが示され、感作に対する注意喚起が必要です。
A. fumigatusへの感作が慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のアウトカムを悪化させることは知られていますが、今回の研究では住環境での曝露がCOPD悪化に与える影響を評価しました。シンガポールとバンクーバーという異なる気候条件下で行われた研究からも、住環境でのA. fumigatusの存在がCOPD増悪に関連していることが示され、感作に対する注意喚起が必要です。
Residential exposure to Aspergillus spp. is associated with exacerbations in COPD
住環境におけるアスペルギルス属への曝露はCOPDの増悪と関連している
Tiew PY, Leung JM, Mac Aogáin M, Johal P, Jaggi TK, Yuen ACY, Ivan FX, Yang J, Afshar T, Tee A, Koh MS, Lim YH, Wong A, Chandrasekaran L, Dacanay JG, Drautz-Moses DI, Ong TH, Abisheganaden JA, Chew FT, Schuster SC, Carlsten C, Chotirmall SH.
Eur Respir J. 2024 Oct 10:2400907.
https://publications.ersnet.org/content/erj/early/2024/10/03/1399300300907-2024
住環境におけるアスペルギルス属への曝露はCOPDの増悪と関連している
Tiew PY, Leung JM, Mac Aogáin M, Johal P, Jaggi TK, Yuen ACY, Ivan FX, Yang J, Afshar T, Tee A, Koh MS, Lim YH, Wong A, Chandrasekaran L, Dacanay JG, Drautz-Moses DI, Ong TH, Abisheganaden JA, Chew FT, Schuster SC, Carlsten C, Chotirmall SH.
Eur Respir J. 2024 Oct 10:2400907.
背景:
A. fumigatusへの感作は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の転帰を悪化させることが知られていますが、住環境でのその有病率や臨床的影響については不明です。
研究デザイン:
シンガポールでCOPD患者43名の住居を対象に、屋内空気、屋外空気、接触面を含む計126の検体をプロスペクティブに採取し、ショットガンメタゲノム解析を行いました。環境中のA. fumigatusの存在量とAsp f抗原の発現を評価し、免疫学的応答と臨床アウトカム(特に増悪頻度)との関連を調べました。また、異なる気候条件のカナダ・バンクーバーにおけるCOPD患者12名(31検体)での検証も行いました。
結果:
シンガポールとバンクーバーの43件の住宅から157件のメタゲノムデータを解析しました。シンガポールで11種、バンクーバーで9種のアスペルギルス属が確認されました。気候、温度、湿度の違いにもかかわらず、A. fumigatusは両地域で検出され、シンガポール(r=0.27, p=0.003)とバンクーバー(r=0.49, p=0.01)のいずれにおいても、その相対存在量が増悪頻度と有意に関連していました。Asp f 3への感作が強い患者は、住環境でのAsp f 3抗原量が多い住居に居住しており(p=0.037)、感作を持つ患者は1年間の追跡でCOPD増悪の頻度が高かった(p=0.021)ことが示されました。住環境におけるA. fumigatusの曝露とその感作は、COPD患者において病原性を有する可能性が示されました。A. fumigatusの住環境中での存在を減らすことが、COPD増悪を抑制するための有効な戦略となる可能性があります。
A. fumigatusへの感作は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の転帰を悪化させることが知られていますが、住環境でのその有病率や臨床的影響については不明です。
研究デザイン:
シンガポールでCOPD患者43名の住居を対象に、屋内空気、屋外空気、接触面を含む計126の検体をプロスペクティブに採取し、ショットガンメタゲノム解析を行いました。環境中のA. fumigatusの存在量とAsp f抗原の発現を評価し、免疫学的応答と臨床アウトカム(特に増悪頻度)との関連を調べました。また、異なる気候条件のカナダ・バンクーバーにおけるCOPD患者12名(31検体)での検証も行いました。
結果:
シンガポールとバンクーバーの43件の住宅から157件のメタゲノムデータを解析しました。シンガポールで11種、バンクーバーで9種のアスペルギルス属が確認されました。気候、温度、湿度の違いにもかかわらず、A. fumigatusは両地域で検出され、シンガポール(r=0.27, p=0.003)とバンクーバー(r=0.49, p=0.01)のいずれにおいても、その相対存在量が増悪頻度と有意に関連していました。Asp f 3への感作が強い患者は、住環境でのAsp f 3抗原量が多い住居に居住しており(p=0.037)、感作を持つ患者は1年間の追跡でCOPD増悪の頻度が高かった(p=0.021)ことが示されました。住環境におけるA. fumigatusの曝露とその感作は、COPD患者において病原性を有する可能性が示されました。A. fumigatusの住環境中での存在を減らすことが、COPD増悪を抑制するための有効な戦略となる可能性があります。