臨床研究では、ニッチな領域を追及する

臨床研究
臨床研究に取り組む場合は、研究者が多い混んだ領域よりも、研究者が少ないニッチな領域に取り組むのが望ましいと言われます。
(J Clin Oncol. 2013 Feb 20;31(6):811-3)
つまり、ライバルが多いレッドオーシャンよりも、ライバルが少ないブルーオーシャンを研究テーマにする方が良いという意味です。
ライバルが少ないと、自分の研究が周囲から注目を受けやすくなります。
誰よりも早く新しい知見を示すことで、自分自身がその領域のパイオニアになる可能性があります。
研究者が、米国など海外に行くと、「What is your niche? (あなたが取り組むニッチな領域は何ですか?)」と、他の海外研究者によく聞かれるそうです。
研究者としては、自分の強み(=自分の取り組むニッチな領域)を理解しておくことが重要であることが示唆されます。
例えば、診療科の多い市中病院では、「分野の狭間(はざま)」(血液内科と呼吸器内科の狭間など)について研究に取り組みやすいです。
当院の例を挙げると、亀田総合病院呼吸器内科では、血液腫瘍内科患者さんの肺病変についてコンサルトを受けることが多く、経験を蓄積しております。膠原病内科や腫瘍内科にも免疫抑制状態の患者がおり、呼吸器感染症が疑われた場合に相談が来ます。
よって、血液疾患患者に生じる急性肺病変に対する気管支鏡診断や
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/61/5/61_6364-20/_article)
、非HIVニューモシスチス肺炎の研究に取り組んでおり
(https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0012-3692(23)05269-8)
、これらは大変ニッチな領域になっております。

なので、一つのアイデアとして、市中病院で臨床研究を行う場合は、経験するのが難しい「分野の狭間(はざま)」(血液内科と呼吸器内科の狭間など)に注目すると、ニッチな領域を開拓できるのかもしれません。
各病院の特性に応じて異なるところだと思いますので、ぜひ自分の病院、診療現場の強みを探して頂ければ幸いです。