注目論文:SGLT2阻害薬の使用はCOPDと2型糖尿病患者における救急受診および入院の減少と関連する
呼吸器内科
SGLT2阻害薬が2型糖尿病に加え、COPD(慢性閉塞性肺疾患)を併発する患者においても有用であることが示されました。本研究では、SGLT2阻害薬の使用がCOPD増悪による救急受診や入院のリスクを低減することが確認され、COPDの管理においてもこの薬剤のさらなる可能性が示唆されました。ただし、小規模の後ろ向き観察研究なので、さらなる検証が必要と考えられます。
Use of Sodium-glucose cotransporter 2 (SGLT 2) inhibitor is associated with reduced emergency room visits and hospitalizations in patients with Chronic obstructive pulmonary disease (COPD) and type 2 Diabetes Mellitus
SGLT2阻害薬の使用はCOPDおよび2型糖尿病患者における救急受診および入院の減少と関連する
Shanmugavel Geetha H, Teo YX, Ravichandran S, Perkit NR, Gogtay M, Lal A, Abraham GM, Trivedi N.
Respir Med. 2024 Sep 24;234:107819.
https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0954-6111(24)00294-4
Shanmugavel Geetha H, Teo YX, Ravichandran S, Perkit NR, Gogtay M, Lal A, Abraham GM, Trivedi N.
Respir Med. 2024 Sep 24;234:107819.
背景:
Sodium-Glucose Cotransporter 2 (SGLT2)阻害薬は、心腎代謝(CRM)のベネフィットを持つ抗糖尿病薬です。最近の研究では、これらの薬剤が慢性肺疾患、特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対しても有益な効果をもたらすことが示唆されています。
研究デザイン:
本研究は、2019年1月1日から2023年1月1日までの間にプライマリケアクリニックで2型糖尿病およびCOPDを有する成人患者を対象にした後ろ向きコホート研究です。患者はSGLT2阻害薬の使用の有無に基づいて2つのグループに分類され、人口統計情報およびCOPD増悪に伴う救急受診や入院の頻度が評価されました。カイ二乗検定およびt検定を用いて変数間の関連を分析し、Cox回帰分析により入院や救急受診の有意な予後因子を特定しました。また、Kaplan-Meier解析を用いて非入院および非救急受診の確率を視覚化しました。統計的有意水準はp値<0.05と設定しました。
結果:
220名の患者をスクリーニングし、94名が本研究の対象となりました。そのうち、20名(21.3%)がSGLT2阻害薬を使用しており、74名(78.7%)が非使用でした。両グループのベースラインの人口統計情報は良好に一致していました。SGLT2阻害薬の使用は、救急受診(70% vs. 97.3%、p=0.001)および入院回数(55% vs. 87.8%、p=0.001)の有意な減少と関連していました。さらに、多変量解析では、入院(調整ハザード比0.156、95%CI: 0.073-0.331)および救急受診(ハザード比0.232、95%CI: 0.118-0.453)のリスクがSGLT2阻害薬使用者で低いことが示されました。COPDおよび2型糖尿病を有する患者において、SGLT2阻害薬の使用はCOPD関連の救急受診および入院の減少と関連していました。この保護効果は、NLRP3インフラマソーム活性の抑制を介した全身性の抗炎症マーカーの増加や、肺を含む複数の組織における抗炎症作用により説明できる可能性があります。