COVID-19の発生から5年が経過し、SARS-CoV-2は現在、世界的にエンデミックとなっています。本論文は、パンデミックの経過と今後の見通しについて包括的にまとめられており、新たな変異株への対応やワクチン戦略に関する重要な提言が含まれています。特に、ハイブリッド免疫の効果と、高リスク群に対する定期的なブースター接種の必要性についての洞察は、今後の公衆衛生対策において極めて重要です。

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A 5-year perspective on coronavirus diseases 2019 (COVID-19)
COVID-19に関する5年間の展望
Hui DSC, Zumla A.
Respirology. 2024 Nov;29(11):937-939.

背景:

2019年12月12日、中国・武漢で最初のCOVID-19症例が報告され、2020年1月7日にSARS-CoV-2が原因病原体として特定されました。その後、2020年1月30日に世界保健機関（WHO）はCOVID-19の流行を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言し、同年3月11日にパンデミックとして認定しました。2023年5月4日にWHOは緊急フェーズの終了を発表しましたが、SARS-CoV-2はエンデミックとして世界中に定着しています。


キーポイント:

SARS-CoV-2はエンデミック化し、世界的な公衆衛生の脅威であり続けています。
新たな変異株が高頻度で出現し、既存の感染やワクチンによる免疫を回避するケースが増えています。
今後数年間、約6か月ごとに大規模な感染波が発生する可能性が高いですが、ハイブリッド免疫により重症度は比較的軽度になると予想されています。
ハイリスクグループには、前回のワクチン接種または自然感染から6～12か月後に、更新されたブースター接種を推奨されます。
SARS-CoV-2の感染防止やCOVID-19ワクチンに関する公衆教育キャンペーンは、引き続き重要な対策ツールです。


今後のワクチン戦略:

WHOのTAG-CO-VACおよびEMA/ECDCは、2024/2025年の秋冬シーズン向けのCOVID-19ワクチンにおいて、JN.1系統の単価ワクチンを推奨しています。これに対し、米国FDAは、JN.1やKP.2などの系統を用いたmRNAワクチンを推奨し、特にKP.2系統を優先することを表明しています。


結論:

SARS-CoV-2は今後も新たな変異株を生み出しながら世界中に広がり続けると予想されますが、ハイブリッド免疫の進展により、重症度は比較的軽減される見込みです。引き続き、ハイリスク群への定期的なブースター接種と、広範な公衆教育キャンペーンが必要とされます。また、最新のワクチン戦略に基づき、進化するウイルスに対応するための効果的な予防策が求められます