臨床研究の企画の仕方
臨床研究
多くの患者さんを一生懸命診ていくところから仮説が生まれ、臨床研究を企画することができます。
具体的には、まず臨床医として、目の前の患者さんに全力で向き合い、丁寧な診療を重ねることで、しばしば新たな疑問や未解決の課題に直面します。疑問が生じた場合、まずはUp to Dateや教科書、文献を活用して既存の知見を確認すると思います。それでも解決できない問題が出てくることがあり、これが臨床研究で解決すべき臨床疑問(Clinical Question: CQ)となります。そして、多数の症例経験を通していく中で、自分なりの仮説が生まれます。その仮説を検証する作業が、臨床研究になるのです。
例えば、私は、膿胸の患者に胸腔ドレーンを留置する際に、教科書的には肺底部に留置するのが望ましいと書かれていますが、上方背側に入れても患者さんが入院するとベッドに横になりますので、排液ができて治癒することを多く経験しました。そのため、膿胸の胸腔ドレーンは、「上方背側に入れても、肺底部に留置しても予後は変わらないのでは?」という仮説を持ち、これを検証しました。結果的には、両者で治療成功に差はありませんでした。
このように、多くの患者さんを見ていく中で、自分なりの臨床疑問と仮説を持つことで、臨床研究を企画することができるのです。