ちょっとためになる話29:脊椎脊髄腫瘍の話2

脊髄腫瘍の臨床症状と外科治療

 脊髄腫瘍では腫瘍の局在する場所の痛みや、脊髄の圧迫による脊髄症状を来しますが、残念ながら脊髄腫瘍に特有の症状はありません。しかも、腫瘍の発生した場所や成長速度(悪性度)により臨床経過は大きく異なります。安静でも改善しない背骨の痛みや、徐々に進行する脊髄症状を自覚したら、早めに病院を受診してくださいね。

- どうやって治療するんですか?

 腫瘍の発生場所、良性か悪性か、腫瘍の種類などによりいろいろな治療法が選択されます。
手術治療を行った患者さんを何人か紹介しましょう。

59歳、女性
頚部痛で発症した「髄膜腫」という腫瘍です。代表的な脊髄腫瘍の一つです。術後MRIでは腫瘍はきれいに無くなっています。

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32歳、女性
これも代表的な脊髄腫瘍の一つで、「神経鞘腫」という腫瘍です。1月ほどの経過で脊髄症状が進行しました。頚の後方からと前方から、2回に分けて手術を行い、腫瘍を全摘しました。

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49歳、女性
椎骨に発生した悪性腫瘍です。骨が溶けているのがわかりますか?前方と後方から腫瘍を摘出した後、自家骨を用いて前方固定術を行いました。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療