ちょっとためになる話23:頚椎椎間板ヘルニア2

頚椎椎間板ヘルニアの臨床症状と治療方針について

 頚椎椎間板ヘルニアは比較的若い方に多い疾患です。ヘルニアは左右どちらかに片寄って脱出することが多く、脊髄から出てくる神経が圧迫されると、その神経の支配領域だけに痛みやしびれなどの症状が現れます(「神経根症」と呼んでいます)。しびれている場所を聞くと、どの神経が傷んでいるのかおおよその診断がつきます。ところがNさんのように、ヘルニアが後方に突出すると、脊髄が直接圧迫されるために、脊髄症状(上下肢のしびれ、巧緻運動障害や歩行障害など)の原因となります。
 症状が軽ければ頚部カラーや消炎剤などで保存的に経過を見ます。約80%の方は保存的治療により症状が改善すると言われています。保存的治療でも症状が改善しない場合には、「頚椎前方除圧固定術」とよばれる手術が適応となります。すでに脊髄症状が出ていたり、麻痺が進行したりする場合には、早めの手術が必要です。

 Nさんはどうなったかですって?
 ご安心ください。症状は改善し、もとの仕事に復帰されています。術後の写真を見てください。MRIでは脊髄の圧迫はすっかり無くなっています。傷んだ椎間板の代わりにケージが挿入されています。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療