ちょっとためになる話19:頚椎の仕組みと働き2

頚髄障害の症状

 以前お話しした「脊髄障害の症状」を思い出してください。
 「脊髄の役割は情報を伝えること、ですから、脊髄が痛むと大切な情報が伝わらなくなってしまいます。」とお話ししましたね。運動の情報が伝わらなくなると、手足の麻痺や筋力が低下してきます。私たちの手は繊細な感覚を持ち、とても複雑な働きをしています。頚髄が障害されると、両手のしびれに加え、箸が使いにくい、字が下手になった、ボタンが留めにくいなど、細かな作業ができにくくなります。これを「巧緻(こうち)運動障害」と呼んでいます。そして、歩行障害も頚髄症状の一つです。頚髄が障害されたときの歩行障害は、階段を下りるのが怖くなったり、ちょっとした段差につまずいて転倒しやすくなったりします。「歩行障害の原因は腰」と簡単に考えないで、「頚椎の病気」も考えてみる必要があるかもしれませんね。

10秒テスト

 巧緻運動障害があるかどうか、簡単にできるテストがあります。
 グー、パーをできるだけ早く繰り返し、10秒間で何回できるか調べるテストです。簡単なテストですが、きわめて鋭敏なテストです。皆さんも試してみてください。何回できましたか?30回以上できたら全く問題有りません。これが20回以下だったら、巧緻運動障害の可能性があるかもしれません。手がしびれたり、細かな作業がしにくいなと感じたら、一度脊椎脊髄外科を受診されることをお勧めします。

このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療