vol.61 集中治療(ICU)と緩和ケア

「ICUにおける緩和ケア」と言われて、皆さんどのようなイメージを持つでしょうか?そもそも治すための治療をうける患者が入るICUにどうして緩和ケアが必要なの?と思うでしょうか。

ICUにいても残念ながら亡くなってしまう患者や改善の見込みのない患者が一定割合発生します。この群の患者さんや家族は事前にある程度予測可能ですから、どこかの時点で治療ゴールの舵取りを緩和ケア中心(comfort care only)に切り替えて、痛みや苦痛を取り除くことを中心に考えるべきだ、と思いませんか?今後は急性期病院においても、後者の考え、つまり、救急医療や集中治療においても緩和ケアアプローチを取り入れることが社会的ニーズとしてこれまで以上に求められるでしょう。とくに疾患軌跡でいうところの"臓器不全パターン"で亡くなられる患者さんは終末期に何度か集中治療室に入る可能性が高いため、そうした患者さんに緩和ケアを適応する場合に、ICUと緩和ケアの連携は患者さんと家族のQOLの観点からも重要です。

今後、日本では各施設におけるICUに緩和ケアチームが関わった場合の患者アウトカムのデータを蓄積し、緩和ケア介入時にはどのようなメリットがあるか、またICUと緩和ケアチームが協働する場合の難しさ等について明らかにする必要があります。こうした取り組みを当院でも関係各科と連携して進めてゆく必要があります。

(関根)

参考サイトはこちら

このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和