やっぱりマックスコーヒーでしょ

領域

統合的ケア


〇統合的ケア的ケアについての勉強会を現在2ヶ月間研修に来てくださっている石川先生が発表してくださいました。統合的ケアの領域でタイトルは「やっぱりマックスコーヒーでしょ」と千葉県民の心をくすぐるタイトルをつけてくださいました。

40歳代男性で糖尿病性腎不全で血液透析をされており、うっ血性心不全で入院を繰り返す方を入院中から担当し、外来通院されている方のお話です。

早期の退院希望があり、退院ができるように調整を行い、また再入院しないようにと医学的・心理学的・社会的側面の問題点を細かく整理しておりました。専門医、看護スタッフ、ソーシャルワーカー、リハビリスタッフ、栄養士さらには家族まで介入をし、退院されその後の外来で関わりをしております。

考察に関しては米国国立科学アカデミーによるプライマリケアの定義ACCCA 1)のうちの包括性、継続性、協調性に基づいてどのようであったかを一つ一つ振り返っておりました。印象的であったのが、最初はどうしようかと迷っていた中で、最初に上級医の言葉で責任を持とうと思い関わる中で、結局は入院から退院後の外来まで関わるようになったという話です。その中でも徐々に責任感が増して来たとのことでした。責任感を持つことが継続性の最初の一歩となるということ2)を実感したとのことでした。また協調性に関しても、保健・医療・福祉サービスまで活用をすることで十分な対応ができたとの手応えもあったとのことでした。

議論としては、本人の価値観やこだわりが強く介入が難しい中で本人の価値観が強い時にどのように医療者として対応する必要があったか、家族志向の観点で妻とどのように関わるのが良いのか、腎代替療法も本人に適したものは何か、統合的ケアを継続するためにはどのようにするのか、などが挙がりました。

複雑な症例の問題点を挙げて一つ一つ丁寧に対応しており統合的ケアの中でよくまとめてくださった症例でした。

参考文献
1)Institute of Medicine. Defining Primary Care: An Interim report (1994) https://www.nap.edu/read/9153/chapter/1
2) 川喜田 愛郎(2012) 医学概論(ちくま文芸文庫)

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学