米沢泌尿器科セミナー 高齢社会における泌尿器疾患の治療について

2019年2月9日 米沢市にて講演させて頂きました。
はじめに、ウロギネ専門(女性泌尿器科)の黄先生に当科で行う、子宮を摘出せずに行う、子宮温存の腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)について講演しました。子宮を摘除することで、起こり得る感染のリスクを減らせる他、本当は子宮を摘出したくない方もいらっしゃいます。子宮を温存し侵襲をより少なく、高齢者への治療の取り組みを紹介しました。
当科の経験では86歳女性がパートナーとの性生活を営まれているケースもあります。高齢だから性生活は関係ない、高齢者に性生活は必要ないと言う思い込みには注意が必要です。骨盤臓器脱により腟内の良い細菌叢がダメージを受け、尿路感染症を患いやすくなります。実際に骨盤臓器脱で意識消失し、集中治療を受けられた方もおられます。適切なケアが大事だと感じています。
また、第2部では特に超高齢者90歳を超えた方の治療方法として、年齢だけでなく、それぞれの身体年齢に合わせて治療することが重要だとお話しました。実例をあげますと97歳でヘルニア手術し、その後畑仕事にも復帰されたり、90歳で前立腺肥大症に対しHoLEP(ホーレップ)を行い、カテーテルのない生活を手に入れた方などを紹介しました。亀田総合病院の麻酔科医の技量もさることながら、看護師、薬剤師などコメディカルスタッフの高齢者に対するケア力があってこその結果です。ポリファーマシー(沢山薬を内服されている)問題で、抗凝固剤を服用している方へも、蒸散型のレーザーシステム(CVPレーザー)を導入しカテーテルのいらない生活を送っていただけるような取り組みに力を入れていることをお話しました。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
泌尿器科部長 安倍 弘和

【専門分野】
泌尿器疾患一般 腹腔鏡下手術