Journal Club

今週のjournal clubは、手根管症候群の予後因子に関する以下の論文です。

Sasaki Y, Terao T, Saito E, Ohara K, Michishita S, Kato N, Tani S, Murayama Y.
Clinical predictors of surgical outcomes of severe carpal tunnel syndrome patients: utility of palmar stimulation in a nerve conduction study.
BMC Musculoskelet Disord. 2020 Nov 7;21(1):725.

背景:手根管症候群は、非常にcommonな疾患ですが、手術後の症状改善の予測因子に関する確立された意見はありません。この研究は、重度の手根管症候群患者の外科的転帰の予測因子を特定することを目的としています。

方法:手根管症候群手術を受けた患者において、術前のBland's分類がグレード5または6の患者の術後半年後の電気生理学的な改善に関して評価しました。

結果:術前ブランドのグレード5または6は、46人の患者の60手であり、そのうち、37人の患者の49手が改善群(グレード1~4)、9人の患者の11手が非改善群(グレード5か6に留まる)でした。手術前のPalmの複合筋活動電位と感覚神経活動電位の振幅が、改善群で有意に高かった。Bland's分類の改善の程度は、臨床症状の改善の程度と相関していた。
結論:Palm刺激によって誘発される手術前の複合筋活動電位と感覚神経活動電位の振幅は、外科的治療後の神経伝導検査スコアと臨床所見の改善を予測することができる。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療