Journal Club

当科では、毎週金曜日の朝に、journal clubを行っております。臨床的に有用と思われる論文を紹介、discussionしております。

本日は、2016年と少し前になりますが、Sebastian AらのSpine Jに掲載された" Risk factors for surgical site infection after posterior cervical spine surgery: an analysis of 5,441 patients from the ACS NSQIP 2005-2012."を題材としました。
これは、American College of Surgeons National Surgical Quality Improvement Project(ACS NSQIP)のデータを用いて、2005年から2012年までの後方頸椎手術を受けた5,441人の患者のSSIの発生率とそのリスク因子を調べています。

結果ですが、3,724人がlaminecomy、1,310人がfusion、407人がlaminoplastyでした。海外なので、laminoplastyの割合が低いのかと思います。30日以内のSSIは160人(2.94%)で確認され、うち80人は表在性SSIとのことでした。Fusionでの感染の割合が高いのかと思いましたが、3つの手順グループ間でSSI率に有意差はありませんでした。
単変量解析によれば、リスク因子は、BMI>35、ステロイドユーザー、アルブミン、ヘマトクリット<33、血小板<100、麻酔リスクの高い症例、より長い手術時間、でした。
およそ合点のいく結果だと思います。喫煙やアルコール、DMには有意差はついていません。
また、多変量では、BMI> 35(OR= 1.78、p = .003)、ステロイド使用(OR = 1.73、p = .049)、手術時間> 197分(OR = 2.08、p = .005)が上がりました。年齢は、70歳以上は50歳以下と比べて、感染リスクはむしろ低いという結果でした(OR = 0.67、p = .017)。高齢が感染のリスクとはいえないのかもしれません。
季節性に関する報告も散見されますが、この論文では、検討はなかったです。
頚椎後方手術に関して、Obesity患者のICでは、少し感染リスクを強調した方がよいかもしれません。

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脊椎脊髄外科 三浦 勇

このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療