スポーツ医学とは26- スポーツイベントとMass gathering medicine

今回はスポーツ医学科の山田医師に「mass gathering medicine(マスギャザリングメディシン)」について教えて頂きます。
(以下O:大内、Y:山田)

Y:スポーツ医学科の山田です。今回はスポーツ医学の中でも、選手やチームを対象としたものではなく、スポーツイベントを対象とした医療massgathering medicine(以下、MGM)についてお話させていただきます。

O:マスギャザリングについてもう少し説明してもらえますか?

Y:マスギャザリングの語意は「群衆」という意味ですが、集団災害医療の中では、「一定期間、限定された地域において、同一目的で集合した多人数の集団」というように定義づけられています。具体的には、コンサートや選挙など大規模イベント、各種スポーツ競技会などが挙げられます。そして、MGMとは、マスギャザリングを科学的に分析して、いかなる医療が必要かを論じる医学のことを言います。我々スポーツ医学科の出番となるMGMは、各種スポーツ競技会ということになります。

O:MGMを行うにあたり必要なことは?

Y:実際にスポーツイベントのMGMを行うにあたり、大会の事前調査を行い、人員・医療器材の確保、医療設備の設営、搬送手段・搬送先医療機関の確保、通信体制などを充実させる必要があります。
最近は、町おこし・地域活性を目的とした市民参加型スポーツイベントも増えています。参加者が増え、大会の規模が大きくなればなるほど傷病者の発生率も上がり、時には重大事故につながる可能性もあります。主催者はそのことを念頭においた大会準備が必要となります。残念ながら、現在全国的に見て、こういった市民参加型スポーツイベントのMGMは浸透・充実していない印象があります。何か起こった時の対応が非常に心配になってしまうこともあります。

O:先生のMGMにおける取り組み、及び今後の展望についてお教えください。

Y:私は、今年の3月まで沖縄の病院に勤務していたこともあり、宮古島トライアスロン大会、久米島マラソン大会などのMGMに関わってきました。そこでは、「スポーツイベント=人為的集団災害」と位置付け、台風などの災害時と同様の医療体制作りに努めました。そこで学んだノウハウを、ここ鴨川周辺の地域でのスポーツイベントのMGMに活用させていただければと思っております。イベントを開催される皆さま、医療面でのサポートについて、是非、当科までご相談ください。

O:有り難うございました。鴨川周辺でも多くのイベントが開催されていますので先生の活躍の場がますます広がりそうですね。今回はmass gathering medicineについてでした。

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スポーツ医学科 大内洋

このサイトの監修者

亀田総合病院
スポーツ医学科主任部長 大内 洋

【専門分野】
スポーツ整形外科、関節鏡手術、スポーツ整形外科疾患に対する超音波診断
PRP療法、体外衝撃波、高気圧酸素治療の最新治療法