救命救急科 岡直輝先生よりローテーション研修の感想を頂きました

亀田総合病院・救命救急科所属で医師10年目の岡といいます。
今回3ヶ月のローテーションをさせて頂きました。
私は今まで消化器外科、救命救急科の医師として救急初療室、手術室、集中治療室で働いて参りました。
急性期医療ばかりやってきた私がなぜリハビリテーション科のローテーションをしたのか。
それは急性期治療を終えた患者さんが、その後どういった経過を辿って身体機能を回復し、社会復帰していくのか見たい・学びたいと思ったからです。
結論から申し上げますと、初期研修医や急性期医療に従事している医師は、リハビリテーション科のローテーションをしないと損です。

リハビリテーション科の研修の特徴としては、希望に沿って研修を組んでくれるところです。私はセラピストがどんな事に注意し、またどんな想いを抱きながら診療に取り組んでいるのか興味がありました。なのでセラピストについてリハビリ現場を見て回る研修も組んで頂きました。私は1ヵ月目は急性期中心、2ヶ月目からは徐々に回復期中心の研修にシフトするように、研修途中にローテーション方法を変更しました。結果3ヶ月間ローテーションしたとしても飽きることもありませんでしたし、日々学びがありました。
また急性期医療しかやったことが無ければ知ることのない、また知識としてあっても見たことが無い世界を目の前で見ることができます。例えば〈脳卒中の予後予測〉。患者さんや家族に説明する際に必要な知識ですが、それを学ぶ機会にもなりますし、実際患者さんがどういった経過を辿るのかをじっくり見ることができます。
さらに疑問に思ったことはすぐに主任部長が答えてくれます。その疑問から時間の許す限りレクチャーをしてくれることも非常に良いです。またその教育が行き届いているため、その他医師のみならずセラピストの皆様も同様の対応をしてくれます。

結果的にリハビリテーション科をローテーションして非常に満足のいく研修ができました。
リハビリテーション科は【障害を抱えた患者さんを対象とする総合診療科である】という言葉が正にピッタリです。
リハビリテーション科のローテーションは、特に初期研修医や急性期医療ばかりやってきた方にオススメできます。

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また以下は個人的な取り組みについて、少しだけ。
「人は生きている理由、とまでは言えなくても生きがいがあり、それにFocusしてリハビリテーションに取り組む。」
脊髄梗塞で転院してきた担当患者さんは元々仕事をしながら、大家族のシェフであり、孫の送り迎えもする元気な方でした。
突然歩けない状態となり、転院時生きる意味すら見えずリハビリに意欲的に取り組めない状態でした。
まずはその想いに寄り添い、時間をかけて悲しみや不安を共有しました。
対話していく中で、徐々に障害を受容することができ、また障害がある中で社会的役割・生きがいの変更することについて、共に考えました。
歩けなくても孫に勉強を教えることはできるし、ヘルパーに手伝ってもらいながら得意としていた料理の下ごしらえはできる。
また下の世代にレシピを伝えていく事を生きがいとしていく。
この目標が決まってから、食欲も増し、意欲的にリハビリを取り組むことができ、今では年齢や障害からは想像できないくらい、できる事も増えてきました。
答えは自分の中にある。
それを引き出すお手伝いをしただけですが、生きがいや目標の大切さを改めて感じました。
Aさん、得意料理の五目寿司、美味しかったです。

このサイトの監修者

亀田総合病院
リハビリテーション科部長 宮越 浩一

【専門分野】
がん、脊髄損傷、脳卒中、小児疾患、高齢者のリハビリテーション