【活動報告】中国上海市復旦大学医学部 大江一帆先生 見学記

昨日、2/19は上海の復旦大学医学部ご出身の大江一帆先生が、当科を1日見学に来られました。大江さんはご両親の仕事の関係で高校から医学部卒業、そして中国の医師免許を取得されるまで上海で過ごされました。中国に引っ越された当初は語学のハンディが大変だったようですが、その困難も乗り越え、復旦大学医学部に入学。同医学部を卒業後、中国の医師免許も取得済みです。現在は日本の医師国家試験にむけ、日本で日々勉学に励まれています。今回、緩和ケア科の見学を思い立った理由は、親友の死が契機であったとのこと。病状進行とともに友人が苦しんでいた症状が医療の力でもっと緩和できなかったのだろうか?と疑問を持ち、緩和ケアを勉強したいと思ったのだそうです。中国では緩和ケアはまだ普及にはほど遠い状況とのことで、がん専門病院には緩和ケア部門があっても、母校の病院には緩和ケアを専門とする部門はまだ未設置なのだそうです。ちなみに中国では医学部入試の偏差値や競争率は他の学科と比べてさほど高いわけではなく(医師はさほど魅力のある職業ではない)高収入が期待できるビジネスマンを志望する人の方が断然多いのだとか。

大江さんの当科での1日は、朝の化学療法センターに勤務する看護師さん達との緩和ケア抄読会に始まり、午前回診、お昼を挟んで、午後は慢性疾患患者さんの継続外来を見学。外来後も病棟の併診患者さんを一緒に訪床。緩和ケアはこれまで確実に進歩を遂げてきた一方、病は究極的には患者さん自身のものなので、そのつらさや苦痛を医学や医療ですべて取り除くことは困難であるという厳しい現実、緩和ケアの限界について、事例を元に一緒に話しました。

大江さんは、将来、緩和ケアを専門にすることも考えておられるとのこと。亀田病院も研修先の候補だとのことで、ご縁があれば、将来一緒に働く機会があるかもしれません。大江さん、国家試験の勉強、頑張ってください。前途洋々の将来のご活躍を心より期待しています!

(関根)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和